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モンセラットを自力で下山する
日本を出発してから157日目
ただいま12カ国目
スペインのモンセラットにいます


 今日はゆっくり起床して、正午頃に外に出た。バルセロナは地下鉄での移動が楽なので、今日のうちにサグラダ・ファミリアやピカソ博物館にいってやろう。と、思っていたのだけれど、ひょんなことから別の町まで遠征することになってしまった。

 駅前でバルセロナの地図を見ていると、後ろから背中を叩かれた。
「あれ、何やってるとですか?」

 聞き覚えのあるこの声とこの博多弁。モロッコの日本人宿で一緒だった(S君改め)サカイ君だ。待ち合わせをしたわけでもなく、まさかこの広いバルセロナでたまたま再会するとは思わなかった。人によってはまったく会わないけれど、こういうことって、なぜか結構あるんだよなあ。
 再会といえば、アメリカ以来ご無沙汰の山田のバカは今ごろどこにいるんだろう。ルートは同じなのに全然会わない。最近は連絡もとってないけど、生きているんだろうか?(まあ、いいか)

 サカイ君に今日の予定を聞くと、バルセロナから列車で1時間のモンセラットという町に日帰りで観光しに行くという。モンセラットなんて調べてもいなかったし、別段興味があったわけではなかったのだけれど、バルセロナではまだ日があるし、ここでサカイ君と会ったのも何かの縁、その足で一緒にモンセラットまで行ってみることにした。

「モンセラット」とは「のこぎり山」という意味らしい。文字通りノコギリの刃のようにギザギザになった岩が山頂付近に密集しているそうだ。また、ここはキリスト教の聖地としても有名で、山の中腹にある大聖堂には古くから多くの巡礼者が訪れているらしい。
 モンセラットの駅に着くと、ゴンドラに乗り換えて山の中腹まで登る。サカイ君とゴンドラ乗り場の前で景色を見ながらのんびりしていたら、ゴンドラが午後休みになってしまった。
 あらら、やってしまった。待つこと45分。2時20分に動き出したゴンドラは、そのおかげというか、2人で貸切だった。災い転じて福となるだ。

 ゴンドラを降りるとミニスーパーがあったので、そこでビールと生ハムを購入。せっかくだから眺めのよいところでビールを飲もうと、さらに山頂までのゴンドラチケットを入手して(金がないので片道のみ)、山頂を目指した。





 山頂はなかなかいい眺め。ノコギリ山を間近で見れるのもいいけれど、眼下に見下ろす町がいいかんじに田舎なので、のんびりした気分にさせてくれる。
 とりあえずビールで乾杯。スペイン名物の生ハムをつまみに酒を飲むと、気持ちよくなって、いつのまにか2人とも眠ってしまった。










サカイ君です。

 気がつけばすでに18時だった。今のスペインは日が落ちるのが遅い。夜中10時前まで明るいので、あまり時間を気にすることがない。本当は気にしないといけなかったのだけれど……。
 下りのゴンドラは買ってなかったので、40分くらいかけて歩いて中腹まで降りた。とりあえず疲れたのでアイスクリームを買って一息いれ、ゴンドラ乗り場に行って驚いた。
 なんとゴンドラ乗り場の入り口が完全に閉まっていたのだ。看板を見ると、運行時間は夕方18時45分まで。時計を見る……19時10分。……合掌。

 うわー、やってしまった。どうしよう。
「こりゃもう、歩いて降りるしかなかとですよ」
 福岡生まれの九州男児はいつもテンパっているくせに、こういうときだけ勇ましい。仕方ないので歩いて下の町まで降りることにした。

 この道を使う観光客はほとんどいないのだろう。ほぼケモノ道、左右の草が真ん中で手をつないでいる場所も結構あった。草をかきわけながら前に進む。すると今度は岩の上を飛び渡りながら降りていくような場所に出る。サンダルがすべるので気をつけながら降りていく。……おいおい、大丈夫かよ。
 一応ペンキでところどころに矢印があるのだけれど、なにせ急勾配なので足を滑らすとサヨウナラ状態だ。不安はつのる。このまま暗くなってしまったら野宿だなあ。





「僕はぜんぜん野宿もいけるとですよ」
 サカイ君はなぜかこういうところで勇ましい。

 オマケに両足はサンダルだった。斜度がきついのでだんだん足の裏が痛くなってくる。街でサカイ君と会ってその足で出てきてしまったからなあ……。
 途中に分かれ道が何本かあったけれど、そのへんはなんとなく勘で乗り切り、次第に下界が見えてきた。
 やった! 助かった!

 何となくでてきたモンセラットの町で遭難しなくてよかった。最後に舗装された道路に出た時はサカイ君と両手を上げて喜び合った。
 足はボロボロ。結局モンセラットのノコギリ山を頂上から下までずっと歩いて降りてきてしまった。

 バルセロナの街にたどりついたのは夜10時をまわっていた。とりあえず疲れた1日だった。でも、達成感という意味ではなかなか充実した1日だった。
 これも災い転じて福となるというのだろうか……。


モンセラットからの帰り道。絵描きさん。


銅像なりすまし男。


author:tiger, category:Spain, 15:40
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