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現地の学校を訪れる
旅日記第3部 《インド編》
旅を始めて56日目
現在、ネパールのポカラにいます。


 今日は早朝からレンタサイクルを借りて、フェワ湖の周辺を見て回った。

 レンタル料は1日100ルピー(120円)だったけれど、レンタル屋のおっさんと交渉して午後2時まで60ルピー(75円)にしてもらい、久し振りに自転車をこぐ。
 今日もヒマラヤ山脈には厚く霧がかかり、その美景を見ることはできないけれど、まずは景色が綺麗だという日本山妙法寺に行ってみることにした。


とりあえず、チャイ屋へ。




 自転車をこぎながら日本寺に向かっていくと、多くの小学生たちが道路の脇でスクールバスを待っていた。「ハロー!」と声をかけてくれる子も多く、こちらは「ナマステー(こんにちは)」と返す。いつもながら子供の可愛さには心癒される。
 学校の制服姿を目にするだけで嬉しくなる。ちゃんと学習を受けていると分かるからだ。世界中には学校に行きたくても行けない子供たちがまだたくさんいる。やっぱり学習はいろいろな意味で絶対に必要なものだ。






 朝の気持ちいい空気を切りながら走っていた自転車も途中から山道に入り、15分くらい登るとバテてきた。
「どうせ登ってもヒマラヤ山脈は見えないんだよな」という思いが何度となく頭をめぐり、売店のおばさんに「まだけっこうあるよ」と言われて「もういいや」という気持ちになってしまった。
 日本寺断念。今きた道を今度は下りながら引き返す。うーん、風が心地いい。下り坂ってなんて素晴らしいんだろう。






 土産物屋やレストランの建ち並ぶレイクサイドの観光客エリアをつっきって、今度は湖の北へと進んでいく。しだいに店やホテルが減っていき、湖のすぐそばを道が通っているので、眺めもいい。
 湖畔にけっこう雰囲気のよさそうな安レストランを見つけたので、ちょっと早い昼食タイムにすることにした。チャイ(15ルピー、18円)とトゥクパ(40ルピー、48円)を頼み、ただひたすら湖を眺める。たまに通る車の音以外は本当に静かで、風のないときは湖が鏡のように対岸の山を映し出す。
そうやって湖をのんびり眺めていたらいつのまにか1時間半経っていた。湖を見ていると時間がすぎるのがあっという間だ。




ここで昼食タイム。


 会計を済ませてレストランを出ると、湖の北端まで自転車をこぎ、さらに北上。湖は湿原にかわり、そこではパラグライダーをやっている観光客もいた。
 どんどん道沿いの家が減っていき、石をレンガのように積み上げて作った家が段々畑のなかにポツポツと見えるようになってくる。家の前ではおばさんが洗い物をしていたり、子供が元気に遊んでいたりして、気さくに声をかけてくれるから全く飽きない。たまに自転車をとめて簡単な英語で話したりするとより楽しい。






 さらに北上。舗装されていた道路もなくなり、ガタガタ道を突き進む。もうこのあたりにくると、レストランもホテルもないし、観光客も全くいない。さすがに遠くまできすぎたかなと思っていたら、学校らしき建物があったので、ちょっとのぞいてみることにした。




 その学校はネパールにしてはなかなかしっかりした校舎で、警備員らしき人もいた。門の鉄格子は閉まっていたけれど、「入っていい?」と聞くと、意外にも簡単に「いいよ」といってくれたので、校庭を通って校舎を見学させてもらうことにした。
 校舎に入ってみたものの、誰に見学許可をもらっていいのかも分からない。仕方がないという口実を自分で作って、勝手に廊下を歩いていった。

 3階建ての校舎は教室ごとに年齢が異なり、まだ小さい子供から高校生くらいの生徒まで勉強していた。
 廊下の窓から教室をのぞくと、僕に気づいた小学生くらいの生徒が先生の話もそっちのけでこっちを凝視してくる。それに気づく先生。不審者だと思われても困るので、そこは100パーセントの笑顔で会釈をし、すぐに隣の教室に移動する。
 いくつ目かの教室では、10歳くらいの生徒が英語の授業をやっていた。しばらく授業風景を見ていると、担当の男の先生が僕に気づき、こちらにつかつか歩いてきた。

「ナマステ(こんにちは)。すみません、日本人で教師をしている者ですが、学校を見学させてもらってもいいですか?」
「えっ、先生をされているんですか! どうぞどうぞ、ご自由に見学してください」
「写真も撮らせてもらってもいいでしょうか?」
「いいですよ。よかったら教室の中に入って撮ってください」

 見学ができるようにわざと「教師をしている」と言ったのだけれど(実は去年、本当に中国の大学で日本語を教えていたので全くの嘘ではない)、それに反応してくれたようだ。
 授業中だというのに、僕を教室のなかに招きいれて生徒に僕を紹介してくれ、僕のほうも調子に乗って、写真を撮って自己紹介したうえに、日本語の挨拶まで教えてしまった。






 授業時間が終わって廊下に出ると、多くの生徒が僕のまわりに寄ってきて、さかんに「ナマステ〜」と言いながら握手を求めてくる。
 そこでさらに写真撮影会が始まり、僕はすっかり人気者(というか晒し者)。さっき僕を教室に入れてくれた先生はこの学校について丁寧に説明しながら校舎内を案内してくれ、職員室の他の先生の前で僕の紹介までしてくれた。

 この学校は全校生徒が450人くらいで、3歳児から17歳くらいまでの生徒が勉強しているそうだ。ネパールの公立学校では小学校4年生までは国が教育費を全額負担してくれ、5年生からは教科書代だけ払えばいいらしい。

「学校をよくするために、何かアイデアをくれませんか?」
「午後から教員会議があるので、参加してくれませんか?」
「もしよかったらネパールで教師をする気はありませんか?」

 よっぽど気に入ってもらえたらしく、たてつづけに質問されたけれど、英語で会話しているので、話の3分の1くらいしかわからない。丁寧にお礼を言い、また滞在中に時間があったら来たいと思いますと告げて校舎を出た。
 偶然ではあったけれど、本当にいい体験をさせてもらった。ちょっとホテルから遠いのが難点だけれど、本当に機会があればもう1回行ってみたいなと思った。






 学校を出たのがだいたい正午。時間もけっこうおしていたので、そこで北上を終え宿のほうに帰ることにした。
 途中、さっきのレストランでコーラを飲んでちょっとのんびりし、レンタルサイクル屋にはちょうど午後2時に自転車を返却した。

 夕方、湖畔のベンチに腰掛けてノートパソコンでブログを書いていると、ポツポツ雨が降りだした。6時くらいからは雷をともなう土砂降りになり、おまけに停電。こうなると何もできない。ドミトリーにおじゃまして一緒にきた仲間と深夜まで旅話に花を咲かせていた。

 ドミトリーから自分の部屋に帰るとき、外に出てみると雨はやみ、星空が広がっていた。もし明日の朝からっと晴れたら、運良くヒマラヤ山脈が見えるかもしれない。そんな淡い期待を抱きながら寝床に入った。
author:tiger, category:ネパール編, 14:32
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