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生き神・クマリ
旅日記第3部 《インド編》
旅を始めて48日目
現在、ネパールのカトマンドゥにいます。


 ネパールには生き神がいる。

 女神・クマリ。血の汚れのない利発な少女が選ばれ、今でも人々から神として崇められている。血の汚れがないとは、初潮前の少女のこと。つまり初潮がくると神の任を退かなければならない。
 実はクマリの存在は以前から知っていた。クマリについて書かれた植島啓司氏の連載「処女神」を読んだことがあったからだ。クマリ自体はネパールの各都市に存在するらしいが、カトマンドゥのクマリは国や国王の運命を予言するとされているのでその中でも特別らしい。
 今のクマリはまだ3歳半らしいが、ダルバール広場のクマリの館に行けばその姿を見ることができるかもしれないという情報を入手し、今日は生き神クマリをこの目で見に行くことにした。

 まず宿を出て朝食をすませ、タメルチョークのメイン通りから南に向けて一直線にくだる。途中、カテシンブー・ストトゥーパやアカシュ・バイラヴ寺院などを観光し、土産物屋を物色しながら歩いていくと、1時間ほどでダルバール広場に到着した。


今日の朝もモモ。スープはサービスでつけてくれる。


カテシンブー・ストトゥーパ




 ダルバール広場の入場料は外国人に限り300ルピー(360円)。手続きをすれば無料で3日間有効になるというからオフィスで手続きを済ませたが、広場の入り口でも広場内でも全くチェックはなく、チケットを買わなくても簡単に観光できそうな感じだった。


 クマリの館はすぐに見つかった。建物自体は想像していたよりも地味で質素なもので、木彫りのほどこされた3階建ての館だったが、中庭に入ると、コーラやスナックを売っている売店があってがっかりした。クマリの威厳ガタ落ちだ。
 しばらく館の近くで様子を見守っていたが、肝心のクマリはいっこうに出てこない。館の近くでポストカードを売っているおばちゃんに聞くと、今ここで待っていてもクマリは出てこないという。クマリは現在休憩中で、毎日だいたい夕方の4時に姿を見せるらしい。クマリの姿を見るにはそれなりのお布施が必要らしいが、観光客の団体に便乗して中庭に入ればたぶん見られるだろうということだった。


これがクマリの館


なぜか売店が……。


 現在12時。せっかくここまで来たのでどうしてもクマリを見たい。それまでダルバール広場内の寺院を見て時間をつぶそうと思ったら、48もあるという寺院はさして見所がなく、30分たらずで見終わってしまった。
 仕方がないので、近くの土産物屋を見てまわったり、広場でくつろいでいる現地人と話したりして4時になるのを待つことにした。












 待っている間にネックレスを手持ちで売っている少女2人と知り合った。ネックレスを買えとうるさいので断っていると、しだいに仲良くなり、ネパール料理の「チャタモリ」が食いたいと言ったら店を教えてくれた。
「一緒に食べる?」と聞くと嬉しそうについてきたのでごちそうしたが、以外に高い店で3人で270ルピー(320円)もかかってしまった。これだけあれば安いネックレスが9個も買えた。ちょっと痛い出費だったけど楽しかったからいいか。








これがチャタモリ。


 そうこうしているうちに夕方の4時になった。クマリの館に行ってみると、数人の観光客がいたが、クマリが顔を出すという中庭にいっても、なかなか姿を現してくれない。
 どうしても今日のうちに見たかったので、怪しいくらいに何度も中庭に出入りしていると、4時45分くらいに団体の観光客がぞくぞくと中庭に入っていった。
 これはチャンス! 一行にまぎれて中庭に入ると、5分ほどして3階の窓からクマリが顔を出してくれた。

 まだ3歳半のクマリは顔にクマリのメイクをほどこされ、絢爛豪華な王冠をかぶっている。が、やっぱり3歳半の少女だった。
 どれだけ威厳があるのかと目を瞠ったが、窓枠の手すりに手をかけて落ち着きなくこちらに視線を向けている。まだあどけない表情で、ありがたみを感じるというよりは、「かわいいな」という感じの神様だった。まだ3歳半だから仕方ないか。

 残念ながらクマリの写真撮影は禁止されていてその姿はお見せできないが、とりあえずクマリが見れたということで、満足してダルバール広場をあとにした。


この3階の中央の窓からクマリが顔を出す。


これがクマリ。写真が撮れないのでポストカードから。


 世界中、とくにインド・ネパールを旅しているとたくさんの神様に出会う。生き神の姿を見たのは今回が初めてだったけれど、可愛い神様に出会えたことは旅のいい思い出になるだろう。




author:tiger, category:ネパール編, 17:48
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