RSS | ATOM | SEARCH
大都市バンコクへ
日本を出発してから345日目
ただいま39カ国目
タイのバンコクにいます


 シュムリアップの宿を7時半に出発して、バスはタイのバンコクを目指す。

 砂埃を巻き上げながら舗装されていない道路を走るバスは上下に激しく揺れ、冷房設備がないもんだから蒸し風呂のように暑い。
 これまでも悪路はいくつか通ってきたけれど、今回のバス移動はかなり疲れた。ただし、疲れたのは悪路が原因ではなく、窓際に座っている僕の隣座席、そして後ろの座席に座る3人の欧米人の節操のなさに疲れたのだ。

 車外は周囲の景色が見えないほど砂埃が舞っているというのに、彼らは暑いという理由で僕の窓を開けてくれと言ってきた。仕方ないので3分の1ほど窓を開けると、開けた瞬間に大量の砂埃が入ってきた。
 目も辛いし鼻も辛い。さすがにこれは無理だと思って半分ほど閉めると、僕になんの断りもなしで横から手が伸び、窓をこじあけてくる。これにはこちらもむかついて、全部窓を閉めてやると、今度は後ろから手が伸びて窓をこじあけてきた。

「おいおい、かんべんしてくれよ。砂が入ってきて目と鼻が辛いんだって」

「暑いんだからしょうがないだろ。開けてくれよ」

「他の人も砂埃が入ってくるから開けてないだろ」

「いやいや、開けてるよ。よく見ろよ」

 彼らの指差す方向を見ると、前の方の座席で一人だけ窓を開けている乗客がいた。

 ――あの人だけじゃん!

 さらに僕の座席の上に頬杖をつき、頭をのせる部分のすきまから手を伸ばしてくる。手を入れるなと言っても、しばらくするとまた同じことを繰り返す。

 ――こいつら、どこまで自分勝手なんだ。こういうところが嫌なんだよ、欧米人は。

 ユースホステルに泊まっているときも、自分の使った食器や調理器具を洗わずに流しにほったらかしにしているし、夜中遅くまで騒いでいて平気で真夜中に電気をつける。
 もちろんそうでない親切でつつましやかなパッカーも多いのだけれど、少なくとも僕は日本人のパッカーでそこまでずうずうしい人間を見たことがない。

 ――やっぱ、日本人はいいなあ。

 彼らの行動にむかつくということは、自分もやっぱり日本人なのだと実感した。生活文化の違いというのは想像以上に大きいもんだ。
 ひさしぶりに(たぶんイスタンブール以来)にむかついて、日本語で「いい加減にしろよ!」と怒鳴り、あっちが視線をそらすまで睨みつけてやった。
 そのあとはオール無視。窓は締め切ってそのうえにすがり、音楽を聴きながら寝たふりをしていた(というより寝れなかった)。

 バスは6時間ほどでタイの国境に到着。珍しくバスで眠れなかったのと欧米人へのストレスですっかり疲れが溜まってしまった。


タイ国境。


 残りあと半分。これからの道のりを考えると憂鬱になっていたのだけれど、昼食休憩をはさんでタイに抜けると、そこからは今までの悪路が嘘のような天国のようなバス移動だった。

 まずタイのバスに乗り換えたのだけれど、それが冷房完備で座席も広い。
 車道は舗装され、道の両側には等間隔で街灯が灯っている。車道も1車線から片側2車線にかわり、まるで高速道路を走っているかのような感じだった。

 ベトナム、カンボジアと比べると多少は都市化されていると思っていたけれど、タイは想像をはるかに超えた都市だった。
 バンコク市内に入るとさらに驚かされた。東京までとはいかないが、それに近いものがある。高速道路がはしり、巨大なビル群が散在している。町のネオンも今までみてきた東南アジアのそれとは明らかに違っていた。
 あまりの驚きに途中からは眠気もさめてバンコクの街を見入ってしまった。

 バスがバンコクで有名な安宿街、カオサン通りの前に停まったのは夜中の8時半だった。とりあえず宿のあてはないので、カオサン通りをうろつきながら安宿を探していく。
 通りの両サイドには煌々と灯りがともり、いくつもの露店が出て土産物や食いものを売っている。欧米人向けのオシャレなバーやカフェも多く、バドガールみたいな格好をしたおねえちゃんが愛想よくふるまっていた。






 宿探しは思いのほか難航した。値段は思ったより高く、なかなか希望額の宿にたどりつけない。年末をカオサンで過ごそうというパッカーが多いせいか、満室の宿もいくつかあった。
 5、6軒まわってさすがに疲れていたので、とりあえず少し高くても今日のところは泊ってしまおうかと思ったのだけれど、カオサンの一番奥のほうにあった「7HOLDER GUEST HOUSE」が1泊シングル150バーツ(450円)と安く、そこに泊ることにした。

 チェックインをすませ、荷物を置いて外に出る。何はともあれビールが飲みたい。
 屋台で焼きそばを頼んで、そのへんに座ってビールを飲むと、疲れがたまっていたのかビール1本でよっぱらってしまった。時計を見ると1時前。通りはまだまだ賑わっていたけれど、今日のところは宿に戻って寝ることにした。




この焼きそばが一皿25バーツ(75円)。


 明日からは楽しみにしていたバンコクを存分に堪能するつもり。旅人がバンコクにはまる理由をこの目でしっかりと見極めなければ。




author:tiger, category:Thailand, 03:13
-, -, - -