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プノンペンでのクリスマス
日本を出発してから339日目
ただいま38カ国目
カンボジアのプノンペンにいます



 今日は楽しかったホーチミンを離れ、カンボジアのプノンペンに移動する。

 カンボジアといえば、アンコールワット。それしか知らない。とりあえず、首都のプノンペンまで行って、そっからアンコールワットのあるシュムリアップまで移動しよう。何となくそう考えていた。
 そういえば今日はクリスマスだ。僕は仏教徒だし、ここは海外だし、本当にどうでもいいイベントなんだけど、クリスマスと聞くと何となく女性とラビリンスな夜を過ごしたくなる。
 あいにく僕にはそんな女性がいないので、今日は一人ぼっちのクリスマスになりそうだ。ここホーチミンはクリスマス一色といったかんじ盛り上がっている。今日移動するプノンペンはどうだろう? あんまり盛り上がっていなければいいのだけれど……。


今日の朝食はまたしてもフォー。


ホーチミンはクリスマス色が強かった。

 ホーチミンからプノンペンまではバスで12ドル。いつものように寝ながら移動してボーダーに着くと、出国・入国手続きがはじまった。
 出国手続きは問題なし。ところがボーダーを越えて入国手続きになるとちょっと困ったことが起きた。カンボジアに移動するので、ベトナムドンをぴったりを使い果たしていたのだけれど、何とこのカンボジア、入国ビザが必要らしい。
「そんなんあたりまえじゃん」と言われそうだが、アジアに来て気が抜けているので、そんなことにも気が回らなくなってしまっていた。

 やばいやばい、金がない。

 カンボジアについてからATMでおろす予定だったので、今財布のなかには50円くらいのベトナムドンしか入っていない。
 バス会社の兄ちゃんに事情を説明すると、簡単にお金を貸してくれた。更にボーダーを越えたところでとった昼食タイムでも、僕にお金がないことしってご馳走してくれた。いやいや、本当に親切な人がいて助かった。

 午後3時半、6時間半かけてバスはプノンペンに到着した。とりあえずATMに行ってお金を下ろしたのだけれど、ここのATM、現地通貨が出てこない。
 というのは、米ドルが力をもっていて、街中の売り買いには米ドルが頻繁に使われているからだ。ドル払いしたおつりはだいたい現地通貨(リエル)で返ってくるが、現地通貨がほしいときには、両替所で交換しなければならない。
 とりあえず立て替えてもらっていたビザ代を米ドルで支払い(ビザ代は20ドルだったけど、手数料込みで24ドル払わされた。このへんはシビア)、換金レートを確認してから宿さがしをすることにした。


トゥクトゥクのおっさんに安宿まで連れてってもらう。

 宿はすぐに見つかった。4ドルのシングルルームはいっぱいだったけれど、ツインの部屋なら5ドルでいいと言ってくれたので、面倒くさいしいいやと思いそこで決めてしまった。
 ホテル名は「キャピタル3」。キャピタル系列の安宿で、今日の朝までいたホーチミンの「キャピタルホテル」ともつながっているらしい。

 とりあえず荷物を置いて外にでる。ここのフロントのお姉さんは英語も上手く、本当に優しい。顔もなかなか美人だったので、駄目もとで今日の夕食に誘ってみた。

「えっ、今日!? そうねえ、たぶん大丈夫よ」

「おっ、いいの! それじゃ、7時に戻ってくるからよろしくね!」

 なんとも簡単にクリスマスの相手をゲットしてしまった。これで今日の夕食もさみしくないだろう。
 7時まではまだ2時間半くらいあったので、散歩しながら町を歩いた。途中で入った旅行会社でシュムリアップ行きのバスチケットも入手(10ドル)。セントラルマーケットはあいにく時間が遅くて、ほとんどの店が片付けをしている最中だった。
 

セントラルマーケット




 7時ちょうどに宿に帰ると、さっきのお姉ちゃんが僕を見つけて頭を下げてきた。

「ごめんなさい。今日、一緒に行けなくなっちゃった」

 何でも、家に電話をして今日は外で飯を食って帰ると告げたところ、母親に帰ってこいと言われたらしい。
 なんとも残念だ。これでまた一人ぼっちのクリスマスに戻ってしまった。
 仕方がないので、さっき歩いてきた道を引き返して繁華街へ戻る。街中はそれほどクリスマスで盛り上がっている様子はないが、ところどころではやはりクリスマスの飾りつけがほどこされている。

 ――今日は屋台で安飯を食いながらビールを飲んで一人メリークリスマスかな。

 そんなことを考えていると、トゥクトゥクの兄ちゃんが声をかけてきた。


「どこ行くの? 安いから乗ってきなよ」

「歩くからいいいい。すぐ近くだから」

「いい女の子いるよ。安くてかわいいよ。」

「いや、いらないって」

「それじゃ、ハッパはどう? 安いよ」

「金ないからいいよ。散歩してるだけだから」

 世界中でよく見かける客引き兄ちゃんだ。どう考えてもいかがわしい。お金はさっきおろしたのである程度あったけれど、財布に金を入れてついていくのは逆に危ない。そんな気分にもなれなかったので、いつもどおりに適当に相手をして立ち去った。

 とはいっても、行く場所はない。繁華街のレストランは値段も高く、日本料理屋もあったけど、そこにも入ろうという気にはなれなかった。もう少しローカルな場所の屋台のほうがいいかもしれない。
 適当に裏路地のほうに入って歩いていると、さっきのトゥクトゥクの兄ちゃんとまたばったり会ってしまった。

「おおっ! また会ったね。女の子はどう?」

「だからいらないって」

 相変わらず話の内容はこんな感じなのだけれど、この兄ちゃん、他のやつらと違ってそんなにしつこくない。英語はだいたい話せるので、明日まわろうと思っていた観光地などの行き方を聞き、微妙に仲良くなってしまった。
 彼もたぶんヒマなんだろう。ヒマ人同士なので、ちょっと親近感が生まれてきた。

「ところで、もうメシは食ったの?」

「まだ食ってないよ」

「じゃ、ごちそうするから一緒にメシ食いにいかない?」

「うん、行く行く!」

 おかしな展開になってしまった。トゥクトゥクの兄ちゃんと屋台で2人だけのクリスマス(いや、それ以上はもちろん何もないですよ)。

 彼の名はソックというらしい。酒を飲みながらプノンペンの話を聞いてみる。賃金の話、食事の話、生活の話……。およそクリスマスにする話ではなかったけれど、彼の身の上話に乗っていると、思わず肩をたたいて元気付けてやりたい気分になる。
 彼がトゥクトゥクで1日に稼ぐ賃金は15ドルくらい。そのうち3ドルは現在のガソリン高で飛んでしまうので12ドルくらいが手元に残る。地方から出稼ぎに来ているらしく、家は高くて借りられないのでトゥクトゥクの座席で毎夜野宿をしているらしい。
 大変だなあ。彼だけじゃない、彼くらい厳しい生活を強いられている労働者はたぶん多いのだろう。彼はまだマシなほうかもしれない。


これにビール3本つけて3ドルくらい。


トゥクトゥクの兄ちゃん、ソック。


ヒナの入ったゆで卵。


中身はこんなかんじ。



 2軒屋台をハシゴしてたらふく食い、酒もけっこうのんで酔っ払うと、彼とはすっかり仲良しになってしまった。帰りも宿までは歩いてすぐなのにトゥクトゥクで送ってくれ、明日の観光も安くまわってくれるという。
 僕の観光は気まぐれなので、それは断ったけれど、プノンペンに来て早々、現地人と打ち解けられたのはうれしかった。

 なかなかシブいクリスマスイブではあったけれど……。



author:tiger, category:Cambodia, 03:38
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