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中東一いい人、サーメル
日本を出発してから204日目
ただいま14カ国目
ヨルダンのアンマンにいます


 クリフホテル2日目。予定では明日、イスラエル入国に挑戦する。入国できるかどうかは国境でパスポートにスタンプを押されるかどうかにかかってくる。ここにスタンプを押されてしまっては、次に滞在予定のシリアに入国できなくなってしまうからだ。
 とりあえず、今日はその情報収集と短期移動の疲れを癒すべく宿でのんびりすることにした。

 というわけで、今日のブログもクリフホテルのスタッフ、サーメルについて書くことにしよう。

 サーメルは現在34歳。パレスチナ人で身寄りはない。日本人が本当に好きで、食事をごちそうしたり、死海のおみやげ物売り場に連れて行ってくれたり、ネスカフェをいれてくれたりする。すべてサーメルの好意。
 その食事代、タクシー代、ネスカフェ代などは全部サーメルが出してくれるのだが、いくら宿泊客が自分で払おうとしても決して受け取ろうとしない。
 給料は日本円で月に約2万円。ヨルダンの物価を考えても、決して裕福ではなく、1年365日休みなしで働いている。みんなが寝静まったあとに団らん室のソファをベッドにして眠るので毎日の睡眠時間も短いのだが、いくら遅くまで話し込んでいても、それをやめさせようとすることはない。

 宿にはサーメルへの恩返しとして、旅人がいろいろな形で感謝の気持ちをあらわしている。
 まず、「サーメルノート」。これはサーメルが今まで出会った日本人のことを思い返せるように作られたもので、旅人が自分の写真を貼って、サーメルへメッセージを書いていくノートだ。このノートを見ると、みな一様にサーメルに感謝の言葉を残していた。日本人だけでなく、韓国人、欧米人のコメントも書かれており、僕がこの旅であった旅仲間の顔も多く見られた。
 次に「サーメルボックス」。これは頑なにお金をもらうことを拒むサーメルのために設置されたボックスで、旅人が感謝の気持ちで現金を入れていくボックスだ。これをもらうことも最初は頑として断り続けたサーメルだったが、長時間の説得のすえになんとか受け取ってもらえるようになったという。
 情報ノートにはサーメルがオーナーにどやされている話や、困っている内容の文章がいたるところにあり、何とかサーメルに迷惑をかけないように、宿泊客みんなが気を付けているようすがわかる。
 みな短期の滞在期間にもかかわらず、サーメルにお世話になり、彼にみせられているのがわかる。それだけサーメルは「いい人」なのだ。


 そして、ここで書いておかなければならない重要な過去の出来事がある。2004年にイラクで拉致され殺害された幸田証生さんが最後に訪れた宿、それがこの「クリフホテル」なのだ。(「サーメルノート」には彼の写真も貼られており、彼が寝たベッドも今でもそのまま使われている)

 彼は滞在期間は短かったものの、イラクの子供たちを救いたい、この目でその現状を見てきたいという断固たる決意のもとでこの地をたったという。そのときにルートを聞かれ、教えてあげたのがサーメルだったらしい。

 当時は日本からの報道陣も多数クリフホテルを訪れ、イラクで人質になっている幸田さんの映像をクリフホテルでサーメルとともに見守ったという。当然サーメルは報道陣からの質問攻めにあったらしく、サーメルはそのことを今でも本当に気にしているらしい。
 昨日、食事の前に次に移動するホテルを案内してくれたのだけれど、その宿名「マンスールホテル」の下に「―KODA HOTEL―」と入れるんだと、嬉しそうな顔で話してくれた。そこまでサーメルは幸田さんのことを気にしているのだ。


 今クリフホテルに来ている旅人のYさんが「KODA HOTEL」のミクシィを立ち上げ、サーメルのために次の宿の名刺を注文して作っているという。これは僕らもサーメルの次の宿が成功するよう何か力になりたい。
 S君と考え、それならとサーメルの写真入りで10月1日からオープンする「KODA HOTEL」の宿紹介のチラシを作ることにした。
 これを中東、アフリカ、欧州、アジアを中心とした日本人宿の情報ノートに貼り付けていく。サーメルは移籍先の宿に日本人が来てくれることを心から願っている。
 旅人の情報網、口コミによる宣伝は想像以上に効果がある。これで少しでも新しい宿に日本人が流れてくれればサーメルもよろこんでくれるだろう。
 
 明日イスラエルに行き、また数日後にはクリフホテルに戻ってくる。S君と相談し、そのときにこのチラシを作ろうと約束した。

 
author:tiger, category:Jordan, 09:40
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