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最後の旅へ
 世界一周を終え、北京に滞在すること1年。2年間の海外生活を終えて帰国し、そろそろ仕事をしなければと思っていたら忘れ物に気が付いた。“インド!”世界一周で時間が足りずに行けなかったこの国にだけは行っておきたい。
 そういうわけでインドを旅のゴールにすることにした。タイガーの旅日記・第三部《インド編》スタート!



旅日記第3部 《インド編》
旅を始めて1日目
現在、中国の北京にいます。


 北京から日本に帰国して1ヶ月。再び異国へ飛び出してしまった。今回の目的地はインド。「旅日記第2部 北京滞在編」をすっかりさぼってしまったので、今回のインドは毎日ブログを書こうと思う。(とかいってサボっちゃったらすいません)

 まずはインドへ行くことになった経緯から。
 2007年の世界一周、僕はインドに行く予定だった。それが時間が足りず、せっかく航空券があったのにインド行きを断念してしまった。
 でも、どうしてもインドだけは行きたい。1年間で40カ国を周ったけれど、旅を終えてからもインドは必要なピースのような気がしてならなかった。
 これじゃあ世界一周を終えた気がしない。うん、それじゃあ行っちゃおう! でもって、これを旅のゴールにしよう! 
 というわけで、インドの旅が決定した。予定期間は2ヶ月半。これで足りるか足りないかは分からないけど、とにかくこの期間でインドを満喫するつもりだ。


 成田発の飛行機が着陸したのは深夜11時。降り立った場所はなぜか1ヶ月ぶりの北京だった。
 インド人は超がつくほど「むかつく」らしい。航空券を北京経由にして旅の前後にちょっと北京に寄って癒されようと思ったわけだ。


この旅最初の機内食。


(たぶん)上海上空を通過。

 空港バスはすでに終わっている。タクシーを飛ばして中国人の友人宅へ直行し、友人宅に着いたのは日付が変わって7日の0時40分だった。
 そして深夜1時から飲み会開始。こんな時間にもかかわらず、僕が1日しか北京にいられないということで友人たちが4人も集まってくれた。1ヶ月前に送別会をしてくれた時と同じ顔ぶれだった。

「日本はどうだった?」
「うーん、なんか正月に田舎に帰省したかんじだね」
「インドに行くの早かったね」
「いや、日本は花粉症がきつくって……」

 とりとめのない話をしているうちに時間は午前4時をまわっていた。久しぶりに中国の辛いおでんを食いながら、久しぶりに中国の燕京ビールをいっぱい飲んだ。日本の生中にはかなわないけれど、燕京ビールは一本30円。安いということはいいことだ。


author:tiger, category:インド編, 17:07
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北京で英気を養う
旅日記第3部 《インド編》
旅を始めて2日目
現在、中国の北京にいます。


 昨日は中国人の友達の家にそのまま泊めてもらった。なんとなく酒の残った感じで目を覚まし、1年間暮らした北京の町を歩く。今日は午後8時半の飛行機に乗らなければならない。
 途中降機にしてしまうと追加料金が発生するので、途中降機にならない24時間以内に北京を離れることにしたのだ。昼間は連絡のとれた何人かの友人と1ヶ月ぶりに再会し、こともあろうか久しぶりの北京の昼食を日本食ですましてしまった。
 1ヶ月ぶりの北京、特に違和感はなかった。インドの帰りにも北京に寄るつもりなので、その時はゆっくり北京を楽しもう。

 オリンピック用に新設された立派すぎる北京空港第3ターミナルを飛び立ったのは20時35分だった。飛行機の中ではいつもどおり熟睡した。うん、このへんはまだ衰えていない。

 最初の目的地はデリー。ホテルはまだ決めていない。いや、実は旅のルートも決めてなければ観光名所のチェックもしていない(知っているのはタージマハルとガンジス川だけ)。バックパックに入っている買ったばかりの「地球の歩き方 インド」が唯一の情報源だ。

 これから訪れるインドにはいったい何が待ち受けているんだろうか……。


北京空港は成田空港より立派


これがインド行きの飛行機。落ちませんように。
author:tiger, category:インド編, 17:17
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むかつきにいく旅
旅日記第3部 《インド編》
旅を始めて3日目
現在、インドのデリーにいます。


 エジプト、モロッコ、インド。旅人の間ではこの3国を「世界三大バカ」と呼んでいる。これは要するに「世界むかつく国ベスト3」のことなんだけど、僕はすでにエジプト、モロッコには訪問している。
 エジプト人はTシャツの袖を引っ張って土産物屋に連れ込んだり、平気な顔してぼったくろうとするけれど、そんなことはさほどむかつくもんでもない。モロッコにいたっては、国自体がかなり面白かったので、「モロッコ人、気さくで面白いじゃん」と思うくらいだった。

「世界三大バカって言っても、そんなにむかつかないんだけど……」

 旅人仲間にそう言うと、決まって同じ言葉が返ってきた。

「いや、インドは違うよ」

 とにかく他とはレベルが違うらしい。それなら、どれだけ僕をむかつかせてくれるのか確かめなければ! 今回の旅は簡単に言うと、「むかつきにいく旅」。インド人がどれだけむかつかせてくれるか楽しみだ。


 北京発の中国国際航空CA947便は8日の午前1時35分に定刻どおりインドのデリーに到着した。空港内は冷房が効いていて寒いくらいだった。

 インドの最大の難関はデリー空港から市内までの移動だとよく言われている。
 空港を出るとおびただしい数の客引きが現れ、タクシーはまともに目的地へ連れて行ってくれない。ぼったくられたり、全然違うところに連れて行かれて高額のツアーを組まされたり、被害者はあとをたたないという。そう、インド最大の難関が初っ端から待ち構えているのだ。
 ふつうの旅行者は最初からツアー旅行で参加したり、送迎ありのホテルに予約を入れたりするけれど、もちろん僕はそんなことはしていない。

 深夜のタクシーは特に危ないらしい。どうせホテルも決めていないし、とりあえず「地球の歩き方」を読んで朝まで空港で時間をつぶすことにした。いくら今回の旅が「むかつきにいく旅」でも、ぼったくられるのは嫌だからね。


 朝6時半、空が明るくなりかけてきたので空港から出ることにした。おそるおそる外に出ると、案の定、うさんくさそうなインド人が寄ってきた。
 
「タクシー?」
「ノー、マイセルフ」

 よほど警戒しているのが伝わったのか、よほどそっけなかったのか、よほど僕が貧乏に見えたのかは分からないけど、驚くほどあっさりあきらめてくれた。それからも何人かに声を掛けられたけれど、どれも似たようなものだった。


この欧米人は可愛そうにインド人についていってしまった。


 いろいろ考えたあげく、タクシーはちょっと怖かったので空港から出ている市バスを使うことにした。行き先はどうやらニューデリーらしい。通路は荷物だらけ、ヒンディー語だけの意味不明な表示、そしてやたら騒がしい車内は僕以外は全員インド人だった。



 
 完全アウェーでびびっていると、バスの切符売りのおっさんが気さくに話し掛けてくれた。隣にいたおっさんは席が空いたから座れと道を空けてくれ、さらに運転手のおっさんは僕が降りるバス停を知らせてくれ、そのあとの道順まで教えてくれた。
 料金は50ルピー(100円)。そこからリキシャをひろって値段交渉をし(30ルピー)、泊まろうと思っていたホテルの前までつけてもらった。


リキシャ(自転車のやつ)


 ホテル名は「ホテル・パヤル」。メインバザールにある日本人がよく泊まる安宿らしい。ここは旅人らしくドミトリーにしようと思ったけれど、シングルが190ルピー(380円)だったのでそっちにした。




インドでの初めての宿は居心地よし。


ホテルの屋上からの眺め


 ちょっと休んで、9時半くらいから市内探索。とりあえず初めてのインドの町に慣れようと思い、近所の通りをぐるっと3周くらいまわってみた。最初は公道を我がもの顔で歩く牛やそのウンコ、物乞いや障害者、目のくぼんだ感じのインド人の顔に慣れず、ちょっと緊張していたけど、2時間も歩くとすっかり慣れてしまったから不思議なもんだ。

 困ったことといえば、野良犬がいたるところにいることくらいだろうか。別に犬が嫌いなわけではなく、凶暴な犬がいるわけでもない。怖いのは狂犬病で、インドでは年間何万人も死者が出ているらしい。間違えて尻尾でも踏んだら大変だ。


メインバザール。牛はいいけど、犬が……。




周りから丸見えのトイレ。


 適当に目にはいった店に入り、適当に食事をして、都合3回チャイを飲んだ。実に平和な1日だった。雰囲気的には中東に似ている感じがした。
 ハプニングといえば、路地裏でガキんちょに水風船をぶつけられた。今月の11日は「ホーリー」というお祭りがあって、みんなで色水を掛け合うらしい。待ちきれないガキんちょが方々でフライングしていて、その巻き添えをくらってしまったわけだ。
 とりあえず、今日はまだ色水ではなくてただの水でよかった。でも、このお祭りは以前から知っていて、ぜひ参加してみたかったので、ちょうど時期が重なったのはラッキーだった。当日は思いっきりはしゃいでガキんちょたちにお返ししてやるつもりだ。

 明日はちょっと観光もしようかな。お祭りの日までやることないので。

・本日むかついた回数 0回
・本日キレた回数 0回



夕飯のカレー、45ルピー(90円)


チャイ(ミルクティー)は7ルピー(14円)


町中にはいたるところにホーリー用グッズが売り出されていた。


この粉を水で溶かしてぶっかけるらしい。
author:tiger, category:インド編, 17:20
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ジャマー・マスジットに行ってみた
旅日記第3部 《インド編》
旅を始めて4日目
現在、インドのデリーにいます。



 朝5時半に目がさめて、7時半に家を出た。もともと観光はあまりしない人だけど、今日はちょっと観光することにした。
 とりあえず、コンノート・プレイスまで歩いて行く。すると、途中の道でインド人に話し掛けられた。

「やあ、君は何人だい?」
「日本人だよ」
「そうか、僕は日本が大好きなんだ。日本のどこから来たの?」
「東京だよ」
「東京か、とても有名だね。僕は大阪に友達がいるんだ。インドはどうだい?」
「とてもたのしいよ」
「そうか、それはよかった。僕はデリー大学でICを勉強しているんだ。インドへはいつ来たの?」
「昨日だよ」
(中略)
「デリーの次はどこに行くつもり?」
「まだ決めてないけど、たぶんアーグラかな」
「そうか、その次はバラナシかい?」
「たぶんね」
「そうか、それはとてもいいルートだね。デリー、アーグラ、バラナシだったら僕が安いチケットを知っているよ。僕の友達がDTTDCにいるからね」
「その会社なら知っているよ。でも、僕は自分でチケットを取るから大丈夫」
「いや、チケットを取るのはとても難しいよ。特にこのコースは人気があるからね」
「うん、でも大丈夫。僕はもう1年間ずっと旅をしているから」
「インドは他の国とは違うよ」
「うん、そうだね。でも僕はインドは3回目だからよく知っているよ」
「あっ、そうなんだ。バーイ!」

 10分くらい歩きながら話した割には簡単に引き下がってくれた。こんなやりとりが今日だけで4回あった。声をかけられただけなら20回以上あったと思う。

 僕は基本的に客引きを無視しない。無視すると嫌な気分になるからだ。
 どうせ一人だから全く話し掛けられないと寂しいし、あまり観光とかしないから急いでいるわけでもない。結構客引きを楽しんでいるのかもしれない。
 困った時は英語が分からないふりをする(実際に僕は英語が苦手なので実に自然だ)。「こいつならいけるかも?」と思わせる隙を作らなければ、相手もそんなにしつこくはならないと思う。

 客引きはまだいい。せいぜい嫌な気分になるだけだから。ブラジルには拳銃を持った強盗がいる。アフリカではマラリアが蔓延している。中東ではテロの恐怖がつきまとう。注意していても防げない、しかも命にかかわるものが一番怖い。そう思っていれば客引きを相手にするのは結構気が楽だ。


 話がそれてしまったけれど、コンノート・プレイスには20分ほどで着いた。
 ここは中央の公園を道路がリング状に三重に囲っていて、道路沿いには商店やレストランなどが軒を連ねている。公園に入ってのんびりしようと思ったら、入り口は全て閉まっていた。月曜だけは閉門しているらしい、なんてこったい。
 仕方がないので、そこから地下鉄を使ってジャマー・マスジットに行ってみることにした。


コンノート・プレイス。


 地下鉄は想像をはるかに越えるくらい綺麗だった。日本の地下鉄と比べても、こっちのほうが立派だろう。地上と地下は別世界だった。
 驚いて写真をパシャパシャ撮っていると、ライフルを持った警備員に呼ばれ写真を消せと注意されてしまった。オーノー!


電車内はなんとか撮れた。


 ジャマー・マスジットは入場無料。このモスクはインド最大規模のものらしい。敷地はだだっぴろく、人もそんなにいないので腰を下ろしてのんびりするにはいい場所だった。地下鉄からここまでの町並みもメインバザールとは違ってかなりローカルだったけど、デジカメ以外に貴重品は持っていないので、野良犬だけに気をつけていれば特に問題はなかった。






ジャマー・マスジット


モスクの前の水で体を清める


中東ではこればっかりだった。ちょっと懐かしい。


仲良くなったお姉さん。カシミール出身だった。


 帰りは行きとは違うルートでニューデリー駅を横断して帰ってきた。メインバザールについたのはまだ午前中だったけど、他の観光地に行くテンションではなかったから、今日も町を歩いてはチャイを飲んで休む、を繰り返していた。
 2日後のホーリーにむけて町も盛り上がってきているかんじ。僕も色水で汚れてもいいように100ルピー(200円)でハーフパンツを購入した。
う〜ん、明日は何をしよう……。

・本日むかついた回数 0回 
・本日キレた回数 0回



ニューデリー駅


子供たちはすでにお祭り気分


夜中のメインバザール
author:tiger, category:インド編, 17:38
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ホーリー前夜祭
旅日記第3部 《インド編》
旅を始めて5日目
現在、インドのデリーにいます。


 今日はホーリー前日。だからというわけでもないけれど、観光にも行かずに町を散策していた。ちょっと歩いて、疲れたらチャイを飲む。またちょっと歩いて、疲れたらチャイを飲むの繰り返し。どうもインドの旅はずっとこのパターンになりそうだ。

 何度も同じところを歩いていると、何度も同じ店に入っていると、自然に顔なじみができる。デリー3日目で僕には3箇所の居場所ができた。
 一つ目はホテルのフロント。ソファーがあって、そこに座りながら従業員と話をする。
 二つ目は3日間でもう7回くらい入ったチャイ屋。手伝いをしている子供が僕の顔を見ると「チャイ?」と言ってくれるから、顔なじみにしてもらったんだろう。
 そして三つ目はホテルから歩いて5分ほどの場所にある路地。デリー初日に水をかけられた場所だ。その路地を歩くと、顔見知りの子供が何人か寄ってくる。適当に遊んでいれば時間はすぎる。そして彼らはいつも笑顔をくれる。
 だいたいその三ヶ所を行ったり来たりしていると1日が過ぎる。


二つ目の居場所。今日はラッシーを飲んでみた。


すると目の前をゾウが……。ホーリー前日だからかな。


三つ目の居場所。子供は本当にかわいいね。



 
 夕方、ホテルのフロントで従業員のインド人と話していると、今日の夜は木を燃やしてお祈りするから行ってみたら? と教えてくれた。
 昼間歩いている時に何箇所かで見かけたキャンプファイアーみたいなのはそれだったのか。そりゃ、ぜひ見とかなきゃ。ちょうど一緒にフロントで話を聞いていた日本人の旅人2人と一緒に見に行ってみることにした。


こういうやつ。


 町にいくつかある前夜祭のなかで、僕は三つ目の居場所である路地を選んだ。そこが一番飾りがこっていたし、知り合いのガキんちょと会えると思ったからだ。
 縦に束ねられた木の周りには藁が巻かれ、牛の糞を固めて首飾りにしたようなものが並べられている。その周りには明日のホーリーで使う色のついた粉で何やら模様が描かれている。



 8時半、太鼓隊が現れてノリのいい演奏が始まった。周りには大勢の人が集まっていた。知っているガキんちょの顔がちらほら見える。そしてさっそく水鉄砲の攻撃を受ける。
 3人でガキんちょと遊んでいると次第に太鼓隊の演奏も盛り上がり、いよいよキャンプファイアーが始まった。
 オデコに色のついた粉をつけられ、礼拝用の食べ物が配られる。そして、水をかけられ、粉を掛けられ、顔面に絵の具をぐちゃぐちゃに塗りつけられる。欧米人の観光客も周りで見ていたけれど、なぜが狙われるのは僕らだけ。一緒になって騒いでいるのも僕ら3人だけだった。







 一緒に行った大学生パッカーのハヤト君は大柄な体を色んなところに引っ張っていかれ、そのたびに色彩豊かになって帰ってくる。ケンタ君は気がつくと姿をくらましている。そして僕は顔見知りのガキんちょから集中砲火を浴びていた。
 気が付けば身体全体にアートがほどこされ、自分の顔がどうなっているかも全然分からない状態だった。






 前夜祭からこんなに盛り上がるのか。色まみれになってしまうのか。これはちょっと予想外。会場のインド人に歓声を浴びながら見送られ、興奮しながらホテルまでの道を歩いていると、こんな全身アートの身体をしている人はほとんどいなかった。その会場が異常に盛り上がっていたらしい。
「オオッ! ハッピーホーリー!」こちらのカラフルな顔を見ていろんなインド人が声をかけてくる。悪い気はしなかった。

 前日でこんなに色まみれになってしまったけど、明日の本番はいったいどうなってしまうんだろう。明日もやっぱり三つ目の居場所に行ってみることにしよう。

・本日むかついた回数 0回
・本日キレた回数 0回

author:tiger, category:インド編, 16:54
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デリーでホーリーを体験する
旅日記第3部 《インド編》
旅を始めて6日目
現在、インドのデリーにいます。


 今日はホーリー。朝7時に起きて昨日一緒に前夜祭に行った2人の学生パッカーを見送った。日程の都合で今日のホーリーには参加できず、ネパールに移動するらしい。ちょっともったいないけど、昨日しっかり色づけされたから十分ホーリーを満喫できたのではないかと思う。

 ホーリーは午前中から始まるはずなのにメインバザールの朝は静かだった。それもそのはず、ほとんどの店がホーリーにそなえて閉まっていたからだ。
 閑散とした通りを歩いていると、そこで仲良くなったインド人の兄ちゃんにチャイをごちそうしてもらい、「日本人の彼女がいる」という聞きたくもない話をたっぷり聞かされてしまった。
 10時になってもメインバザールはあまり盛り上がっていなかった。本当はホテルの屋上から色水をぶっかけてから町に出ようと思っていたのだけれど、あまり人通りがなかったので、いつもの路地に行ってみることにした。

 路地にはすでに顔面アートのインド人がウロウロしていた。
 ガキんちょも、若者も、おっさんも、老人も、色のついた粉の袋を持っていて、僕に手招きをしてくる。そして、おでこにその粉をつけてくれ、「ハッピーホーリー」といいながら抱擁、もしくは握手をする。
 意外にも礼儀正しい儀式でないかと思っていたら、顔見知りにガキんちょたちに会ったとたんに水をかけられ、色スプレーをかけられ、顔面をぐちゃぐちゃに塗りたくられた。


いちばん仲良しの子




 ものの1分でひどい姿にされてしまった。そして、顔や服が汚れたのを皮切りに周りのインド人の反応が一変した。「ああ、こいつは汚しても大丈夫な奴なんだな」。そう思われたんだろう、それからはどこに行っても集団砲火を浴びてしまった。
 インド人4,5人のグループがバケツで色水をかけ、羽交い絞めにして顔面を色粉と絵の具で何重にも塗りたくってくる。路地の両側の建物からは水風船をぶつけられ、原チャリに乗ったインド人はすれ違いざまにスプレーをかけてくる。










 2時間ほど町をふらつくと、顔面はもう、日本人の原型をとどめていなかった。耳と目もスプレーでやられたので、いったんホテルに帰ってシャワーを浴びることにした。
 いったん洗うと、もう外に出るのがいやになる。でも、ほとんど写真が撮れなかったので(どこから攻撃を受けるかわからないので、水と粉が怖くてデジカメが出せなかった)、ちょっと休憩したあと、もう一度町にくり出した。






欧米人旅行者たちも参加


 最初は順調。まだ顔の汚れていない欧米人の後ろにくっつきながら歩き、危険な全身アート軍団の写真をゲット。今回はいつもの路地には行かなかった。ある程度写真も撮れてあとは帰るだけ。もうシャワーを浴びなくてもいいかと思ったら、最後の路地でやられてしまった。
 2人組のガキに色スプレー攻撃をうけて顔をかばっていると、横の路地から現れた兄ちゃんに赤い粉を袋ごと顔面にかけられた。グレートカブキの毒霧よろしく、顔面が真っ赤に染まってうろたえていると、最後の刺客が路地から飛び出し、とどめに生卵をぶつけられた(それは反則だろ!)。
 最後に散々な目に遭ったけど、それもまあハッピーホーリーということで。


 このホーリーは地方では前後3日ずつを入れて1週間つづけるらしい。デリーは都市なので夕方にはいつものデリーに戻っていたけど、こんなんが1週間も続くのはさすがにきついなと思った。

 何はともあれ、ホーリーを楽しめたことは本当にラッキーだった。無茶苦茶なお祭りではあったけれど、いろんなインド人と触れ合える貴重な経験ができたと思う。

 ハッピーホーリー! 


・本日むかついた回数 0回
・本日キレた回数 0回


author:tiger, category:インド編, 16:46
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ホテルパヤルのディーパックさん
旅日記第3部 《インド編》
旅を始めて7日目
現在、インドのデリーにいます。


 色水をかけられ、色粉をかけられ、絵の具を塗りつけられ、卵をぶつけられたホーリーから一夜が過ぎた。町はすっかりいつもの雰囲気に戻っている。

 今日の午前中はメモ帳を手に宿の周りを散歩した。それは、この宿に来て以来、本当にお世話になっているディーパックさんに何か恩返しがしたいと思ったからだ。

 昨晩、宿の屋上でディーパックさんにウィスキーをご馳走になった。昼間はビールをご馳走になった。
 ディーパックさんは以前はガイドの仕事をやっていたらしく、日本の旅行会社とも提携して何度も日本に来たことがあるらしい。だから日本語はペラペラで、日本のこともよく知っている。
 ホテル・パヤルの管理人になったのは、今年の1月。それ以来、彼はこの宿を日本人に喜んでもらえ、大勢の日本人が集まる宿にしようとがんばっている。
 どうしたら日本人が集まってくれるかな? と聞かれたので、「それじゃ、このホテルのチラシを作ったらどうですか」と僕は答えた。チラシを旅人に渡して日本人宿の情報ノートに貼ってもらえば、旅人がこの宿に来ると思ったからだ。
 お酒もご馳走になったし、急ぐ旅でもないし、お礼に宿のチラシを作ってあげることにした。今朝、宿の周りを散歩したのはチラシに必要な地図を書くためだった。

 宿のチラシをいえば、1年半前にヨルダンのクリフホテルで「中東一いい人・サーメル」の新しい宿のチラシを作ったことがある。なんでもサーメルは最近、日本人女性と結婚したらしい。このことを聞いたときは本当に嬉しかった。

 サーメルがちょっと不器用だけどとにかくいい人に対して、ディーパックさんは「できる人」という感じ。日本にも毎年行っているらしく、インドでガイドもやっていたので、旅に必要な情報をたくさん持っている。それを全部日本語で教えてくれるので本当に助かる。列車やバス、航空券の手配もしてくれる。他の都市への行き方やデリーの物価も教えてくれる。
 デリーに立ち寄る旅人はぜひ「ホテル パヤル」を訪れてほしい。そうすれば、ぼったくりや悪徳旅行社がわんさかいるデリーでも楽しい旅ができると思う。


ディーパックさん。


チラシを作成。


 昼飯はそのディーパックさんにまたもやカレーをご馳走になってしまった。他の日本人も全員ご馳走になった。シングルに泊まっていたので、今まではあまりドミトリーの日本人と会話する機会がなかったけれど、そのまま飯を食いながら色んなことを話して、話の流れでみんなで映画を見に行くことになった。


みんなでカレーをご馳走になる


 行った映画館はコンノート・プレイスにある「プラザ・シネマ」。上流階級が行くようなとても豪華な映画館で、料金は一人150ルピー(300円)。普通の映画館は25ルピー(50円)くらいだから、インドにしてはかなり高額だった。
 セキュリティーチェックを2回もやられ、タバコもライターもカメラも持ち込み禁止。ここまで来るのに使った地下鉄でもセキュリティーチェックが厳しかったけれど、そのあたりは去年のムンバイのテロ以来、かなり神経質になっているのかもしれない。


プラザ・シネマ。


 上映されていた映画は「DELHI 6」。アメリカ帰りのインド人の男が女と出会い、恋仲になり、最後は濡れ衣をきせられてボコボコにされるという内容だったが、ヒンディー語なので展開がよくわからなかった。
 ただ、ヒロインの女性がチョー綺麗で、まさに非の打ちどころ無し。インド人女性は綺麗だとよく聞くけど、このヒロインがいるだけで観る価値ありと思うくらい本当に綺麗な女性だった。

 映画から帰って飯を食った後、酒屋にビールを買いにいった。ビールの大瓶が35ルピー(70円)。ディーパックさんがまたもやウイスキーのボトルを1本提供してくれたので、夜中遅くまで屋上で酒を飲みながら盛り上がった。

・本日むかついた回数 0回
・本日キレた回数 0回



夕食は中華丼を食べた。
author:tiger, category:インド編, 00:57
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そろそろ移動しよう
旅日記第3部 《インド編》
旅を始めて8日目
現在、インドのデリーにいます。


 デリーに着いてから今日で6日目。ホーリーがあったにせよ、そろそろ移動しなければならない。卒業旅行シーズンということもあって、みんな来たかと思えば1泊して出て行ってしまう。
 もともとデリーという場所は飛行機で出入りする場所で、ほとんど長居をする人はいない。どうせデリーアウトだからまた来るし、明日には次の目的地、アグラーに出発しようと思う。

 昨日の映画でドミトリーの日本人旅人とも仲良くなった。やっぱり日本人と話すのは楽でいい。ちょうど世界一周中の旅人も2人いたので、久しぶりに中南米の話とかして記憶が甦っていった。
 何となく旅人だったときの感じに戻ってきた。重いバックパックを持って、列車のチケットをとり、リキシャと値段交渉して、現地で宿を探す。明日は頑張ろっと!

・本日むかついた回数 0回
・本日キレた回数 0回



「ビリー」というインドタバコ。24本入りで6ルピー(12円)、12本入り2ルピー(4円)。


インドの八百屋


デカっ!


ラッシー屋。10ルピー(20円)。かなり美味しい。

author:tiger, category:インド編, 00:58
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アーグラに移動する
旅日記第3部 《インド編》
旅を始めて9日目
現在、インドのアーグラにいます。


 朝8時半に起きて、パッキングをする。日本人旅人3人と朝飯兼昼食を食いに行き、宿に戻ってディーパックさんと話をし、11時前に宿を出た。


ターリー。


 次に向かうのはアーグラ。アーグラといえばタージマハルだ。
 駅に着いてアーグラ行きの切符を買おうとすると、インド人に呼び止められた。

「外国人はここでは買えないよ、ここはインド人専用だから」
「えっ、そうなの?」
「あっちにある青い看板のビルの2階で販売しているからそっちへ行きな」
「アーグラなんだけど、一番安いのでいくらするかな?」
「アーグラなら300ルピーだよ」
「あっそ、じゃあね〜」

 なるほど。こうやって外国人旅行社に高いチケットを買わせているのか。確かに外国人旅行社専用のチケット売り場は別の場所にある。僕はその場所をよく知らなかったから、あやうくだまされるところだったけど、300ルピーと言われてすぐに分かった。
 昨日、ディーパックさんに値段の相場を聞いていたし、インド人専用の窓口でもチケットを買えると教えてもらっていたからだ。

 窓口に並んだのは11時すぎ。11時半の列車があったから、何とか乗りたかったんだけれど、僕の順番がきたところで窓口のパソコンが故障した。10分以上待たされて、結局11時半の列車に間に合わず、14時15分の列車に乗ることになってしまった。
 本当は自由席に乗って現地人の様子を観察したかったんだけど、自由席が70ルピーくらいに対して、寝台車の指定席が121ルピー(242円)と安かったので、そっちのチケットを購入した。

 特にやることもなかったので、駅のホームで列車を待つことにした。僕はこういう時、よくiPodでラジオの録音を聞く。海外に出るたびに餞別にAMラジオの録音データを大量にくれる友達がいて、それを聞いていると2、3時間なんてあっという間に過ぎていく。
 今日聞いていたのは「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」。今回はちょうど特番の「猪木祭り」をやっていて、ゲストが春一番、あんときの猪木、アントニオ小猪木の3人だった。実にくだらない内容だけど実に面白かった。

 ホームで待っていると、前の列車が出発した。指定席は普通に乗客が座っているが、端っこの自由席はインド人でぎゅうぎゅうだった。列車が動き出しているのに、乗車口には無理やり乗ろうとする乗客がはみ出している。
 子供を抱いたおっさんがなんとかホームから足を離して乗り込み、僕の前を通り過ぎた。危ないなあと思っていたら、それから10秒後、アクシデントが起きた。内側から押された勢いで子供がホームに落ちてしまったらしい。周りの人が集まり大きな取り巻きができる。泣きながらかけよる女性もいる。
 それでも列車は停車することもなく、そのまま走り去っていった。しばらくの間、周囲は騒然としていたが、子供はどうなったんだろうか。インドの列車おそるべし。自由席に挑戦するのはもう少しあとにしようかなと思った。






 定刻を20分遅れて列車は発車した。なかなか列車が来ないと思っていたら、ホームの反対側の6番ホームに僕の乗る列車がすでに止まっていた。切符を買ったときには7番ホームになっていたはずなのに……。このへんはさすがインド、気が抜けない。

 寝台列車の指定席は至って快適だった。窓外を見ながらガイドブックを見ていたらいつの間にか眠ってしまい、4時間の列車の旅はあっという間に過ぎていった。




駅の社内売り。これはさっぱりしてて美味かった。


 アーグラに着いたのは午後6時半。そこからリクシャと値段交渉して、70ルピー(140円)で、タージマハルの目の前のホテルまで移動した。目をつけていた「カマルホテル」はシングルが満室で駄目だったけど、リクシャのおっさんがいい人で、近くの安ホテル「サイ・パレス」に案内してくれた。
 トイレ・シャワー付のシングルルームが1泊200ルピー(400円)。屋上からタージマハルも見えるので、なかなかいいホテルのようだった。

 フロントで勧められたツアーは断った。値段はそんなに高くなかったけど、自由に周りたかったので。明日は朝早起きしてタージマハルとアーグラ城を観光するつもりだ。





今回の部屋。一泊200ルピー。
author:tiger, category:インド編, 19:18
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タージマハルへ
span style="color:#0000FF">旅日記第3部 《インド編》
旅を始めて10日目
現在、インドのアーグラにいます。

 朝5時半に目覚ましをセットし、6時にホテルを出発した。今日はタージマハルを観光する。さすがにこの観光地だけは外せない、というかここに行かなければアーグラに来た意味がない。これだけ朝早く出たのは涼しいうちに観光したかったのと朝陽がタージマハルにさしていくのを見たかったからだ。

 ホテルから5分くらい歩いて西門に着くと、すでに大勢の欧米人が並んでいた。チケットは250ルピー(500円)だけれど、それプラスADAチケットというインド考古学局に支払うチケットを買わなくてはならない。それが500ルピー(1000円)。合計1500円は貧乏パッカーにとってはかなり高額だけど、仕方がないのでチケットを購入した。
 チケットを買って中に入ると、敷地内に入るでかい門がある。そこをくぐる途中で目の前にタージマハルが現れてきた。


入り口ではミネラルウォーターをもらえる。




門をくぐるとタージマハルが見えてくる


 タージマハルは宮殿ではなくてお墓。マハルという王妃を溺愛した王様が王妃の死後に莫大な費用と時間と労働力を使って建てさせたらしい。昔の人はよくこんなもんを作ったなあと感心してしまう。
 前後左右が対称のタージマハルは確かに綺麗で立派で、全体が白色でかっこいい。でもそれだけではなくて、今まで見てきた他の遺跡にはない雰囲気を持っていた。
 建物内は中央にお墓があるだけで、これといって見るものはない。建物の間近で見ていてもそれほどすごいとは思わないんだけど、少し離れて外観を見わたすと不思議な気分にさせてくれる。
 なんだかわからない厳かな佇まい。ずっと見ていたくなるような気持ちになり、退出口から外に出るのに何度も躊躇してしまった。






 実はタージマハルにはそんなに期待をしていなかった。まあそれなりにいいんだろうなという予測はできたけど、所詮まあそれなりだろうと。それが想像以上によかったので750ルピーの出費も痛くなかった。アーグラーにわざわざ来た甲斐があったというものだ。


 2時間半くらいタージマハルにいて、そのあとはリクシャに乗ってアーグラー城に行ってみた。ここはムガール帝国のお城で、広い敷地にそれなりの見所はあったが、こっちは所詮それなりだった。入場料の250ルピー(500円)が高く感じられた。






 さらにそこから歩いてイスラムのモスク、ジャマー・マスジットに行ってみたけど、こちらはデリーのジャマー・マスジットのほうがずっとよかった(こちらも入場は無料)。それでも、道中を歩いている時にいろいろな発見があったのでよしとしよう。


広場ではみんなクリケットをやっていた。クリケットはインドで一番人気のあるスポーツらしい。








道端には牛の糞が所狭しと並べられていた。


ジャマー・マスジット


 朝早く観光を始めたので正午には観光が終わってしまった。他にもいくつか観光地はあったけど、もうお腹いっぱい。遺跡に特別興味があるわけでもないので、観光はこれでやめておいた。

 午後は宿に戻って昼寝をしたあと、宿の近くを散歩してこの旅で初めて土産物を買った。もう一日アーグラーにいて宿の屋上から一日中タージマハルを見ていようかとも思ったけど、せっかく移動のリズムが出てきたので明日の早朝に移動することにした。

 次の目的地はカジュラーホーだ。



町の子供たち


インドはやたら犬がいる。犬は好きだけど狂犬病が怖い。


ホテルの屋上からはタージマハルが…。
author:tiger, category:インド編, 19:20
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