- ようやくベトナム入国。
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2007.12.15 Saturday日本を出発してから330日目
ただいま37カ国目
ベトナムのハノイにいます
本当にようやくのベトナム入国だった。
朝7時半に国境の町、河口に到着して国境越え。すぐにバイクタクシーに乗って駅に行き、ハノイ行きの列車チケットを入手した。
ベトナム国境。
でっかいタバコを吸うおっさん。
きつそうだ。
列車は9時15分発でハノイには夜中の9時過ぎに到着。ここのところ、本当に移動ばかりだ。
それでも、ハノイ行きの列車の中では現地人とのコミュニケーションもとれ、車内販売している色んなものをご馳走してもらった。
しょっちゅう通路を横切る売り子。
17歳のベトナム少女。あんまりベトナムっぽくない。
こちらも17歳。この娘、なんと既婚者で2児の子持ち。
さらにこの娘も17歳。なかなかカワイイ。
(なぜ17歳の少女ばかりかはツッコまないでください)
世界の車窓から。
ベトナム人はやさしいなあ(中国の悪口を言っているわけではないけど)。
夜中にハノイにつくと大忙し。ATMを探して金をおろし、次の移動の列車チケットを入手したあと、バイクタクシーをつかって宿を探した。
4軒目の宿でようやく宿泊を決めると、夜中のハンザ市場を探索して、明日のツアーチケット、水上人形劇のチケットも予約した。
うーん、疲れた。
それでも、やっと目的地のハノイに着いた。ここには2泊する予定。時間は短いけれど、好きなベトナムをしっかり堪能しよう。
ビールを飲んで疲れを癒す。
そしてベトナム定番のフォー。
- ハノイ満喫の一日
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2007.12.16 Sunday日本を出発してから331日目
ただいま37カ国目
ベトナムのハノイにいます
今日は宿で予約した「ホンソンランドスケープツアー」に参加した。
昼食付の日帰りツアーで18ドル。約2100円のツアーだ。宿で紹介されたツアーにはハノイ周辺の有名な建物や寺院をまわるツアーもあったのだけれど、小舟で山村をくだる風景写真に惹かれ、こちらのツアーを選択してしまった。
バスで船着場まで移動すると、そこにはたくさんの渡し舟が岸に横付けされていて、そのまわりにはベトナム名物の編み笠を売る多くの売り子がいる。売り子の多くは女性で、渡し舟の船頭もほとんどが女性だった。
このお姉さんがすごくいい人だった。
4人で渡し舟に乗り、約40分の川くだり。周りは山と水田ばかり、霧のたれこめた風景は仙人でもいそうな雰囲気だ。
こちらの畑、水田で働く人たちは、みんな手漕ぎの小舟をつかって移動している。細い水路に一人で抱え上げられるような小さな舟が行き来している。水田を耕している人たちは、膝まで水につかって、日本の2倍はある大きな刃を使ったクワで水田を耕していた。
魚釣りをする人もいる
ガキもいる
やたらでかい刃のクワ。
小舟の漕ぎ手は少女だった。小気味よいリズムでもくもくと櫂をこいでいく。話を聞くとこの子もすでに1児の母らしい。どうみても中学生か高校生なのに……。
ボート漕ぎに挑戦!
舟が目的地に到着すると、お寺をまわり、そのあと歩いて山登り。山の頂上には鍾乳洞があって、かなり大きいものだった。
この子も小舟の漕ぎ手。
ベトナム料理は本当に美味い。
山頂の鍾乳洞はなかなかよかった。
19時くらいにハノイ市内に帰ってきてツアーは終了したのだけれど、昼飯はうまかったし、ガイドについてまわるだけだったので非常に楽だった。これを自力でまわるのはきつい。これで18ドルならお得なのかもしれない。
ただ、ここがどこだったのか、僕は未だによくわかっていない。寺の名前も山の名前も川の名前も……。いったい僕は今日、何をやっていたのだろう。
唯一覚えたのは、ガイドの兄ちゃんに教えてもらった、
「アィン ヨウ エム」(愛してる)
というベトナム語だけだった。
今日はもう一つイベントに参加した。ハノイ名物の「水上人形劇」だ。
9時開演の公演を見にいったのだけれど、料金は40000ドン(300円)。日本人観光客もツアーバスで多くかけつけていて、完全に観光客用の催しだった。
この水上人形劇はこの地域の伝統芸能らしい。日本でいうと「神楽」に近いかもしれない。
正直言って、この人形劇にはあまり期待はしていなかった。こういうのは、これまでの経験からいうと、だいたいがしょぼい。
でもまあ、せっかくハノイに来たのだから「とりあえず見とけ」という感じだった。
それが思いのほか面白かった。
水上ステージの横ではベトナムの民族楽器をつかった演奏が行われ、これが意外にいい音をだしていた。
人形劇自体は全部で10の話に分かれており、それを順番に水上で披露していく。テーマは田植えだったり、魚とりだったり、凱旋だったり……。この地域の年中行事を並べているのだろう。
人形には水中から鉄棒が伸びていて、舞台の奥の御簾のなかで人が操作していた。現代の技術を駆使しているわけでもなく、人形も昔ながらの言うならば「ちゃっちい」ものだったけれど、逆にそれが滑稽で、愛らしい人形の表情と動き、それに合わせた演奏は好印象を与えてくれた。
ベトナムの伝統楽器による演奏
終演は22時。そこから歩いてハンザ市場に行き、屋台を探索したあと、フォーを食って宿に戻った。宿に帰ってきたのは深夜1時。朝っぱらから忙しい1日だった。
ハンザ市場
今日の晩飯もフォー。
- ハノイの地元市場
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2007.12.17 Monday日本を出発してから332日目
ただいま37カ国目
ベトナムのハノイにいます
今日1日はハノイ観光。といっても、観光地を歩くのは面倒くさくなったので、近くの湖をまわったり、市場をまわったり、土産物売り場を見てまわったり……。
疲れたらネット屋にいって休憩という感じの観光だった。
ベトナムといえばバイク。
そのなかでも特によかったのが、市場。
昨日の夜にいったハンザ市場もよかったけれど、今日まわったのは、それとは別の地元民が利用する野菜や日用品が売られている市場だ。
まだ尾っぽをパタパタやっている魚介類、無造作に積み上げられた野菜群、やたら安くてうまいメシ。店の人も普段は観光客を相手にしてないので、売り買いは別にした普通の話をしてくれる。
食用ガエル。
さっそく編み笠売りの女の子に昨日覚えた「アィン ヨウ エム」(愛してるよ)を使ってみた。それが大ウケ。周りの売り子がみんな集まってきて、質問攻めが始まった。
あと、この屋台で食った8000ドン(60円)のフォーはこれまで食ったフォーのなかでもピカイチだった。
ベトナムにはいってから、1日2食はフォーを食っていたのだけれど、ここのフォーは具沢山、数種類のパクチーがたっぷり入っていていい味を出していた(おまけにフォーを作ってくれるおばあさんもかなりいい味を出していた)。
夕方の7時には列車に乗ってハノイを離れた。次の目的地はホーチミン。本当は列車ではなく途中下車可能なバスチケットを買い、フエやニャチャンに寄りながらホーチミンを目指したかったのだけど、残念ながら時間がない。
バスならホーチミンまで3000円くらいで行けるらしいが、7000円する寝台列車を使って一気にホーチミンまで行くことにした。
所要時間は35時間。これは今回列車に乗ったなかでは最長時間だ。何もすることのない列車で2泊。いったい何をして時間を過ごそうかな。
- 35時間の列車旅
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2007.12.18 Tuesday日本を出発してから333日目
ただいま37カ国目
ベトナムの列車の中にいます
昨日の19時に出発した列車は今日1日走りつづけて、明日の朝ホーチミンに到着する。なので今日は列車から一歩も出ずに乗りっぱなし。
本当は滞在したかったビーチリゾート。
広州から昆明までの寝台列車は3段ベッドだったけど、今回は2段ベッドの下段だったので寝ていないときは普通にベッドに腰掛けられる。
向かい合った隣の上下段のベッドがファミリーで、夫婦と子供2人。今日一日はその子供とずっと遊んでいた。
折り紙をしたり、新聞紙で竹刀を作ってチャンバラしたり、最近覚えた手品をここぞとばかりに披露したり……。子供と遊ぶのは本当に楽しい(この言葉、このブログでこれまで何回書いたのだろう)。
食事は車内をまわってくる弁当を買い、缶ビールも今日1日で5本飲んでしまった。アジアに入ってからちょっと食いすぎ飲みすぎだ。せっかく自然にダイエットされた身体がまた元に戻ってしまいそうだ。
- ひさしぶりのホーチミン
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2007.12.19 Wednesday日本を出発してから334日目
ただいま37カ国目
ベトナムのホーチミンにいます
35時間走り続けた列車は早朝6時10分にホーチミン駅に到着した。
ガキんちょと遊びながら、食っちゃ寝食っちゃ寝していた列車移動。寝台車だから疲れたら横になれるというのはよかったけれど、列車から外に一歩も出ずに35時間はやっぱりちょっと長かった。
なまった身体を動かしながらホーチミンの駅前に出ると、とりあえずデータム通りにバイクタクシーで向かうことにした。
ホーチミンには去年の9月に1度訪れていて、そのときは初めての東南アジアに浮かれていた。
想像していたよりはるかにメシが美味いこと、日本人の若者が気楽に訪れていること、世界一周中の旅人に会ったこと……。
なかでも特によかったのが、現地ツアーで参加した「1泊2日メコンデルタツアー」で現地人の家にホームステイしたことだった。
生まれて初めてのホームステイがメコンデルタの島。たった1日だったけど現地人に本当によくしてもらった思い出が僕のなかにずっと残っていた。
――彼らと再会したい。
それが今回、1ヶ月しか時間のないアジアの旅でインド・ネパールをやめ、東南アジアをまわることに決めた理由だった。
インド・ネパールはまた時間を作っていけばいい、けれどメコンデルタでお世話になった人々とは今回の旅で再会したい。そんな感じだった。
子供はどれだけ大きくなったんだろうか、おばあちゃんは元気だろうか、あの娘はそろそろ結婚したかなあ……。
データム通りにバイクタクシーが着くと、とりあえず宿探し。このあたりは安宿が密集している場所なので特に下調べもしていなく、適当に値段をききながら数件まわって、「CAPITAL HOTEL」という宿に決めた。
シングルで6ドル(700円)、部屋は空調、シャワー、トイレ、テレビ付でフロントではネットをタダでできる。なかなか便利のいい宿だった。
部屋に荷物を置くと、とりあえず腹が減ったので近くの食堂に朝飯を食いに行った。もちろんオーダーはフォー。本当にフォーは美味い。
今回の部屋。なかなか快適。
そのあとは現地の旅行会社に件の「メコンデルタツアー」を申し込みにいった。担当の人に聞いてみると、ホームステイ先は1年前と変わっていないらしい。これはラッキー。どうやら前回泊まった家にまた泊まれそうだ。
しかも、本来なら1泊しかできないホームステイを無理を言って2泊にしてもらった。これで現地に丸2日滞在できる。料金は30ドル。食事付、観光付、宿泊費付でこの値段はかなりリーズナブル、これで明日から3日間、楽しい時間が送れそうだ。
このあとは一旦宿に帰って休んだあと、午後からベンタイン市場にくりだした。ベンタイン市場は観光客用の土産物売り場で、建物の外では地元民用の食材なども売っている。
値段はすごく高いということもないが、それほど安くもない。ただ、この市場は観光客用ということもあって、やたら日本語を話す売り子が多い。
そのうちの一人に聞いてみると、ここの売り子はそのために日本語教室に通っているのだという。
――うーん、どうりで。でも、そこまでするのか……。
めっちゃキレイな子を発見!
アジアでは旅も最後だし物価も安いので、お土産は買っていこうと思っていた。ここは色々なものが売られているので歩いているだけでも楽しいし、買えればさらに面白い。売り子と話をしながら時間をかけて値下げ交渉して、いくつかのお土産をゲットした。
その中でも特に値引きをしながら仲良くなったコーヒー屋の売り子の女の子と一緒に夕食を食いにいくことになった。
ベトナムの屋台はどれも美味しいのだけれど、一人ではあまり種類が食えないし、すぐに食ってしまうので何か味気ない。食事はやっぱり誰かと一緒のほうが楽しい。楽しい会話は料理の味をひきたててくれる最高の調味料だ。
日本語が流暢なヒイン。とても真面目な子でした。
ベトナム風生春巻と蒸した貝、それに海鮮鍋を注文してビールを飲んでいると、横でいつのまにかビデオカメラがまわっていた。
韓国のテレビ局がベトナムのグルメ取材にきていたらしい。ビデオカメラはこちらにも向けられて、思わず取材に答えてしまった。
「いや、ベトナム料理は最高ですよ!」
「ほんと、安くて美味い!」
観光客丸出しのコメント。もっと気の利いたことを言いたかったのだけれど、まあ、それもいいでないか。ひょっとしたら今頃、韓国のテレビに僕が映っているかもしれない。
ベトナムといえば生春巻
コレ、美味かった。
なかなか豪勢。でもビール3本飲んで会計は2人で1000円ちょっと。
韓国テレビの取材クルー。
食事が終わると彼女と別れて、ひとりで歩いて宿まで帰った。道路はバイタクでいっぱいだ。世界をいろいろ見てきたけれど、これだけのバイク交通量をほこるのはホーチミンくらいだろう。
明日はいよいよ楽しみにしていたメコンデルタのホームステイ。
いや、楽しみでヤバイ。
- メコンアイランドで1年3ヶ月ぶりの再会!
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2007.12.20 Thursday日本を出発してから335日目
ただいま37カ国目
ベトナムのメコンアイランドにいます
今日は待ちに待ったメコンデルタツアー初日。1年3ヶ月ぶりにホームステイ先の現地人と再会する日だ。
朝からワクワクしながら宿を出てツアー会社に向かう。
今回使ったツアー会社は日本人スタッフもいる「TNKトラベルJAPAN」。去年もお世話になったところで、ツアー代金も安くガイドもとても親切で好感が持てるツアー会社だ。
同じツアーには日本語ガイドツアーもあったのだけれど、そっちはツアー料金が高く、これまでの旅でもほとんど英語ガイドだったので迷わず英語ガイドツアーを選択した。
8時に旅行会社の前に集合してバスで移動。このへんは去年とまったく同じ行程だ。ツアーには25人くらい参加していたが、ほとんどが欧米人で日本人は僕とAちゃん(27歳・女性)だけだった。
Aちゃんは東京で働いていて、今回は短期でベトナム旅行にきているらしい。話を聞くと、今回の旅では着いて早々トラブル続きで、けっこうな被害を被ったのだという。
被害はけっこうでかくて内心はかなり落ち込んでいたはずなのに、彼女はそんな感じはほとんど見せずに僕と楽しく話してくれた。多分、かなり無理していたと思う。
でも、せっかく来た久しぶりの海外。なんとか気持ちを切り換えて残りの日程を楽しんでほしい。
バスは2時間半ほどで船着場に着き、そこからはボートでメコン川を下っていった。
メコン川は水が茶色く、見た目はアマゾン川に似ているけれど、アマゾン川ほどは濁っていない(それでも十分濁っているけど)。流れはそれほど速くなく、砂や車を運ぶタンカーも行き来していた。
しばらくすると、小さい中州のような島が見えてきた。島の間の幅の狭い川を上っていくと、マングローブの森に突入する。ここは前回も見ているけれど、背の高いマングローブが両岸にびっしりと繁茂していて、ジャングルクルーズをしているような気分にさせてくれる。
ポンポンポン……というボートのエンジン音がたまらない。景色と雰囲気に絶妙にマッチしていて、旅の疲れを癒してくれる。
僕にとってはこれこそが「ベトナム」だ。
途中、キャンディー工場に立ち寄った。ここではココナッツを使ったキャンディー作りを見学、ハチミツをとる蜂の巣を見たり、大蛇を首に巻いたりして楽しんだ。
大蛇はよく慣れているので噛み付くことはない。でも重量はかなりあり、触った感じはヘビ皮のハンドバックのようになめらかで冷たかった。
大蛇を首にまいてみる。こういうの、別に平気。
キャンディ工場。お姉さんたちの手先は素早い。
蜂の巣。
さらに15分移動すると、ボートは見覚えのある景色に入っていった。
間違いない。去年僕が訪れたメコンアイランドだ。
岸にボートを横付けして島に上がると、記憶が鮮明によみがえってきた。
この小路を進むと民家があって、ニワトリがいて、犬がいて、子供がいて、お婆ちゃんがいて、娘がいて、青年がいて……。
嬉しいことに最初にあった民家の女の子は僕のことを覚えてくれていた。
そこの家ではツアー会社と提携してホームステイ先を提供している。さすがに1年以上前に1日だけ滞在した人間をそうそう覚えてはいないだろう。それからホームステイをしたツアー客はたくさんいたはずだ。
彼女が僕のことを覚えていてくれたのは僕が日本に帰ってから彼らと一緒に撮った写真に手紙をそえて送っていたからだろう。
それにしても、すぐに僕をわかってくれたのは嬉しかった。写真を送ったのは1年以上前だし、もちろんここに来ることは全く知らせていなかったので……。
お互い顔を見合わせて、「アーー!」っと相手を指差した。最初はちょっと不安もあったけど、これで一気にテンションが上がってしまった。
驚いたことに、みんな僕のことを覚えてくれていた。さすがに当時3歳の子供は覚えていないようだったけれど……。
ここの民家はツアー客が昼食を食べていく場所になっている。そのためひとつの家族だけでは仕事がおいつかなく、近くに住んでいるその親戚連中もここに手伝いにきている。
全部合わせると20人くらいいるだろうか。いろんな人間が入れ替わり立ち代り出入りしている。なので誰がどの子供で、誰と誰が兄弟で、誰がどこに住んでいるかなんてことはよくわからない。何人かは別の仕事ももっているようだし……。
このツアーはこの民家で昼食をとり、ホームステイをする人間だけがここに残って、あとの参加者はその日のうちに別の観光地をまわってホーチミンに帰っていく。
で、ホームステイした人間は翌日の同じツアーでホーチミンに帰っていく流れになっている(僕の場合は特別に2泊させてもらったけど)。
今回ホームステイをしたのは僕だけだった。
前回も僕一人だったけれど、なんでみんなはここでホームステイをしないのだろう。現地の人とも触れ合えるし、自然も満喫できる。のんびりハンモックに揺られて読書しているだけでもここにホームステイする価値はあると思うんだけれど……。
しかも今回は2泊。まる2日のんびりできる。
昼食を食べ終わると、ツアー客は次の観光ポイントに行ってしまった。Aちゃんともこれでお別れだ。
残されたのは僕一人。いよいよホームステイのスタートだ。
うわーっ、テンションあがるなあ。
とりあえず民家の敷地内を歩いてみんなに挨拶してまわった。
前回、よく遊んだ少女は3歳から4歳になり、ちょっとお姉さんになっていた。虫取り網をいっちょまえに肩にかついで、僕の腕をひっぱっていく。
民家のまわりを囲む小さな川を移動しながら、網でタニシを取って嬉しそうに僕に手渡してくれる。ちょっと誇らしげだ。
――ここのことは私がよく知っているから、ついてらっしゃい。案内してあげる。
そんな感じで敷地内を案内してくれた。
1年前はこんな感じだったのに……
これだけ大きくなりました。
それから、驚いたことに前回のホームステイで僕を一番世話してくれていた女の子に子供ができていた。彼女は独身だったはず……。
そう、僕のいない1年3ヶ月の間に結婚し、子供まで作っていたのだ。旦那さんは気持ちのいい好青年で、何かあるたびに声をかけてくれ、いつも僕のことを気遣ってくれていた。たぶん彼女から僕のことを聞いていたんだろう。
でもいったい、彼女はどこでこんないい男を見つけたのだろう? 休みもなく、毎日ここで働いていたはずなのに……。
1年前はこんなかんじだったのが……
結婚して子供まで作ってました。
子供もよく似てる。
旦那とはラブラブだった。
さらに、去年来たときに一緒に酒を飲んだイケメンの兄ちゃんまで結婚していた。奥さんはこの島の人ではないらしいが、旦那のことをいつも第一に考えているつつましやかな奥さんだ。
僕もこんな奥さんほしいなあ、そう思わせるような人だった。
イケメン兄ちゃん(左)
奥さんはほんといい女。昔の日本女性みたい。(彼女の子供じゃありません)
敷地内をとりあえず見終わると、この2組の夫婦と親戚であろう美形の少女と一緒に6人で島の中へ食材探しにいくことになった。
途中、最近使っていなかったボートの救出作業を行った。ボートは動力のないただの木製ボート。水草の生い茂るなかを無理やりひっぱりだして川まで運ぶ。
川に出ると、みんなでそのボートに乗り込んで島の周囲をまわっていった。イケメン兄ちゃんは木の棒をオール代わりにして器用に舵をとっている。女性陣は虫取り網を使ってそのへんの木に成っている果物を取り、みんなでそれを齧りながら進んでいく。
でっかい夏ミカンみたいな果物
何かわからんけど美味かった。
昔使ってたボートを川まで移動。
こういうの、ホント楽しい。少年時代にかえったみたいだ。
舟はキャンディを作っている別の民家に到着した。ここはイケメン兄ちゃんの兄弟の家で、今日はここでみんなで食事をするようだ。メンバーも増え、みんなで食材を集めてまわる。
木に登ってライチを取ったり、電気の棒を使って魚を取ったり、そのへんを走りまわっているニワトリを捕まえて絞めたり……。すべての食材が当日の現地調達だ。
女性陣は取ってきた野菜を切ったり、スープを作ったりし、男性陣は魚や鶏をさばいていく。これはかなり美味い夕食をいただけそうだ。
日本のタケノコみたいな植物。この子はすごくしっかり者。
彼女はライチをとりに木に登ったりもする。このへんは日本の女の子とはちょっと違う。
電流をながして魚を捕まえていく。
川エビをゲット!
本日の収穫。
このニワトリ、30分前まで生きていた。
食事は男と女が別々にとる。先に女性と子供たちが食べたあとで、男性陣は特別におつまみを作って、酒を飲みながらゆっくり食事をする。
この男性陣のなかには女性は決して入っていかない。常にそうなのかは知らないが、「働く男の聖域」みたいなものがあるのだろう。このあたりは文化なのかもしれない。
そういえばホーチミンでもそうだったが、ベトナム人女性はタバコを吸わないし、お酒もほとんど飲まない。ちょっと昔の日本に似ている。
僕は最初に女性陣&子供たちと一緒に食事をし、途中からは男性陣のなかに入って一緒にお酒を飲ませてもらった。
ここのお酒はバナナから作られたお酒らしく、けっこうきつい。面白いのが飲み方で、小さいグラスに入れられたお酒を最初の人が半分飲み干し、その半分を誰かに渡してその人が残り半分を飲み干していく。これがこちらの「乾杯」らしい。日本でいう「杯を返す」というやつと同じ意味合いだろう。
メコン川の夕日はなぜか郷愁をそそる。
本日の夕食。チキンサラダ風スープ。これをスープの中にいれて食べる。メチャメチャ美味かった。
女性陣&子供のテーブル。
男性陣のテーブル。
酒はけっこうなペースでなくなっていく。ベトナム語のわからない僕もその場の雰囲気を楽しみながら、存分に現地料理とお酒を味わった。みんな本当にいい人ばかりだ。
今日の夕食は全員で15人くらいいただろうか。普段はここまで集まらないらしいが、今日は僕がきたのでみんなで集まってくれたみたいだ。
1年3ヶ月ぶりの再会。やはり旅は「人」との「出会い」だ。どんなにすごい遺跡を見ても、どんなにすごい建築物を見ても、こんな幸せな気分にはなれないと思う。
インド・ネパールにも行きたかったけれど、彼らと再会するために東南アジアを選んで本当によかった。
お酒がまわって酔っ払いながら、夜中のメコン川をボートに揺られて民家まで帰る。川岸では蛍が木にむらがり、クリスマスツリーのようになっていた。
- 近くの民家で仲良し兄妹と再会
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2007.12.21 Friday日本を出発してから336日目
ただいま37カ国目
ベトナムのメコンアイランドにいます
ここメコンアイランドではホームステイ先以外にも会いたい家族がいた。この家族も前回の滞在中に会っていて、ホームステイ先から歩いて5分のところにある普通の民家だ。
前回は一人で島を散歩しているときにたまたま仲良くなって、滞在中に何度も遊びにいった。11歳の少年ヘインと4歳の少女クエン。彼らは元気にしているだろうか?
ステイ先で朝6時に目を覚ますと、もう何人かは庭を掃いたり食事の準備にとりかかっていた。僕も掃き掃除を手伝い、朝食のヌードルとベトナムコーヒーをいただいてしばらくハンモックに揺られたあと、9時になったのでその民家を訪ねてみることにした。
早朝のメコン川。
メコン川まで出て、そこから川沿いに少し歩くと、その民家は去年と全くかわらない姿のまま残っていた。彼らにも前回の帰国後に写真を送っていたのだが、果たして覚えてくれているだろうか……。
家の正面にまわると、奥のほうに少年がいた。おそるおそる手を振ると、僕だとわかったのか、笑顔で手を振り返してくれた。間違いない、ヘインだ! 僕のことをちゃんと覚えてくれていた。
彼はすぐに奥のほうに走っていき、もう一人の住居人を呼んできた。大きな目をした黒髪の少女、クインだ。家の前までくると少しはにかんで恥ずかしそうにし、こちらに手を振ってくれた。彼女も僕のことを覚えてくれていたらしい。
一緒に住んでいるお母さんはちょうど留守だった。ヘインに聞くと、裏の畑に行っているらしい。英語はまったく通じないので、身振り手振りで「写真は届いた?」と聞くと、すぐに抽斗を開けて写真をもってきてくれた。
写真のありかをちゃんと把握しているということは、写真が届いたあとも何度か見てくれていたんだろう。これは嬉しい。
1年前の兄妹はこんなかんじ。
現在のヘインとクイン。
1年前のクイン。かなり幼かった。
現在はちょっとお姉さんに。
ヘインはちょっとお兄さんになっていた。クインはこの1年3ヶ月で見違えるようにお姉さんになっていた。子供の成長は早いなあ。でも、5歳のクインが僕のことをちゃんと覚えてくれていたとは……。
一緒に写真をとり、少しのんびりすると、「また後でくるよ」と言って1度ステイ先に戻ることにした。
帰り道の足取りが軽い。再会の喜びをいっぱいに感じて家に戻ると、すぐにまた会いたくなって、1時間後にはまたその民家に遊びにいってしまった。
今度はお母さんも畑から帰っていて、僕を歓迎してくれた。自分の家でとれたフルーツをくれ、僕の送ってくれた写真を見ながら通じない言語でいろんな話をした。
前回訪れたときはすっかり気に入ってもらい、親戚の娘の写真をもってきて「この娘と結婚しない?」とすすめられたが、今回は残念ながらその話はなかった。彼女は結婚してしまったのだろうか……。
1年前のお母さん。
現在のお母さん。あまり変わってない。
これは近所のおばさん。
ヘインとクインは自分が勉強しているノートを次から次にもってきて、僕に見せてくれる。僕も負けてはいられないので、お得意(?)の折り紙で紙ひこうきや鶴を折って彼らにプレゼントした。
ヘインは11時になると学校に出かけていった。ここの小学校って、こんな遅い時間から始まるのだろうか? そのあとしばらくクインと遊び、お昼になったのでステイ先の家に戻ることにした。
「また来るよ」と言って帰ろうとすると、お母さんが「お昼をここで食べていかない?」と誘ってくれた。せっかくだけど、ステイ先で食事が用意してあるはずなので丁重にお断りして家に戻った。
1年たっても少しも変わっていない。ここの家族は本当にやさしいなあ。
ステイ先に戻ると、僕の帰りを待っていたように食事が用意されていた。今日もここには「メコンデルタツアー」のお客さんが大勢やってくる。僕に料理をだしてくれると、急いで台所に戻り、せわしなく昼食の準備にとりかかっていた。
今日の昼食。ツアー客よりかなり豪勢。
せわしなく働く女性陣。
しばらくすると日本語ツアーの一行がやってきた。聞きなれた日本語が遠くのほうから聞こえてくると、なんだかちょっと恥ずかしくなるのはなぜだろう。
15分ほどすると英語ツアーの一行もやってきて、家の人は大忙しだ。僕も食事をたいらげると料理や飲み物を運ぶのを手伝ったのだが、今日もここでホームステイする観光客はゼロだった。
こんな貴重な体験ができるのに本当にもったいない。でも、あと1日、ここでのホームステイを独り占めできることを考えると、正直いって嬉しかった。
午後からは食事の片付けを手伝ったあとでガキんちょと遊び、空いた時間にはテラスに座って読書をしたりポストカードを書いたりしていた。
夕方からはボートで昨日と同じ民家にいって夕飯を食い、夜中も昨日と同様に男たちと酒を飲みながら談笑した。
今日の料理も当日入手。
さっきむしってた鳥はおつまみに。
クリスマスの工作をする少女。
時間がのんびり過ぎていく。でも、あっという間に過ぎていく。残りあと半日。ツアー会社に無理言ってホームステイを2泊にしてもらったけれど全然足りない。次回来るときは5泊くらいしたいなと思った。
- また来るぞ!メコンアイランド!
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2007.12.22 Saturday日本を出発してから337日目
ただいま37カ国目
ベトナムのメコンアイランドにいます
今日はホームステイ最終日。といっても、別段かわったことをするわけでもなく、現地の人と触れ合って、島の自然と触れ合って、時間をのんびり過ごしただけ。これがここでの一番贅沢な過ごし方だと思う。
朝起きて掃き掃除を手伝い、フォーとベトナムコーヒーの朝食をたいらげたあとはガキんちょと遊ぶ。昨日と同じだ。今日やったのはかくれんぼ。なんか前回もやった気がする。
今日の朝食、フォー。
そしてベトナムコーヒー。
前回きたときのかくれんぼ。
今回のかくれんぼ。
近所の子も遊びにきてた。
そのあとは昨日行った近くの民家に再訪して兄妹と遊び、今日は強引さに負けて昼食をごちそうになったあと、「これで帰ってしまうけど、また絶対に来るね」と言ってお別れした。
今度来たときはどれだけ大きくなってるんだろう。
アオザイ娘発見!
ステイ先に戻ると家のすぐわきにある川に魚を獲りにいき、それを調理して昼食にいただいた。味はいいのだけれど、さっき食べたばかりなのでかなり満腹だ。
網で魚をゲットし……
捕れた魚を……
油で揚げて……
出来上がり!
お昼になるとツアー客がやってきた。今日はこのツアー客と一緒にホーチミンに帰る。料理を運ぶのを手伝って、その後はお世話になったステイ先の人にひとりずつお礼とお別れをしてまわった。
やっぱり別れの時が一番辛い。でも今回は、何年か後に必ず来ると心に決めていたので、辛いよりも次に再会するのが楽しみなお別れだった。
最後にボートが出るときには、ステイ先のガキんちょが船着場まで見送りに来てくれた。彼女は次に会うときにはどれくらい大きくなっているんだろう。今度は僕のことを覚えていてくれているのだろうか。
次に来るときはできれば4、5泊したい。日本の社会に疲れた時、ここに来れば心身ともに癒してくれるだろう。メコンアイランドはそんな島だった。
夕方にホーチミンに着くと、ツアーの初日に一緒だったAちゃんがツアー会社の前で待ってくれていた。別れた時にできたら一緒にメシを食おうと約束しておいたのだ。
Aちゃんはあのあとホーチミンに帰ったあともトラブル続きだったらしい。そのあたりの話を聞きながらベトナム料理を食い、今日はビールもいつも以上に飲んで、最後は2人で大いに盛り上がった(さすがにここは僕が支払った)。
Aちゃんの今回の旅は本当に大変だったと思う。でも、旅にトラブルはつきもの。後日の笑い話にしてくれればいいのだけれど……。
ちょっと心配だったので、空港までAちゃんを送ることにした。さすがに最後の飛行機でのトラブルは避けたいところだ。無事にチェックインを済ませ、搭乗口でAちゃんの背中が見えなくなるまで見届けてから空港をあとにした。
あとは日本に戻るだけ。飛行機が落ちなかったらいいのだけれど……。
空港からのバイクタクシーはめちゃめちゃ飛ばす兄ちゃんだった。ビールをけっこう飲んで酔っ払っていたのでかなり危険な帰路だったけれど、2、3度死にそうになりながらもなんとか宿にはたどりついた。
前に泊まった「キャピタルホテル」は満室だったけれど、宿の人のはからいで簡易ベッドを用意してもらい、今夜は2ドルで泊めてもらった。
酒がまわって気持ちいい。用意された簡易ベッドに横になると、あっという間に眠りについてしまった。
- ホーチミンの交通事情
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2007.12.23 Sunday日本を出発してから338日目
ただいま37カ国目
ベトナムのホーチミンにいます
ホーチミン最終日。昨日は珍しく早めに寝たのに(といっても12時くらい)、なんだか眠い。部屋が空いたので簡易ベッドからシングルルームに移ると、今日はお昼前までベッドから出られなかった。
ホーチミンは前にも来ている場所なので、今日は特にすることなし。
というわけで、朝飯(昼飯?)を食って郵便局に行ったあとは、暇つぶしもかねてベンタイン市場を散策しに行った。
今日の朝食。カレーフォー。辛いけどなかなか美味い。
えらく立派な郵便局。
こちらは教会。
土産物屋をうろついて売り子のベトナム人と話をし、今日は建物の外の食材売り場もゆっくりまわってみた。話す内容は4日前と全く同じ。
「これいいよ、買って買って!」
「この前、買ったじゃん。今日は買わないよ」
「お兄さん、これ似合うよ。これは彼女に似合う。買って買って!」
「だから、買わないって」
「そう……。じゃ、これはどう? 安いよ、お兄さん。買って買って!」
「…………」
なんてやりとりを繰り返しながら土産物売り場をまわり、前回も会った売り子の女の子にちょっかいをかけたりしながら3時間くらいウロウロしていた。
ヒイン。
5時半になると店も次第に閉まりだす。結局この日も4日前に一緒に夕食を食べたヒインと屋台に飯を食いにいくことになった。
またしても海鮮鍋を頼んでビールを飲み、2時間くらい屋台でのんびりしてから一緒に近くの露店を散歩する。
30分くらい露店をまわると、ヒインはこれで帰るというので、大通りまで出て別れたのだけれど、大通りのあまりの交通量にはあっけにとられた。
前にも書いたけれど、ここホーチミンの交通量は半端じゃない。今日は休日ということもあって特にすごかったのだけれど、道路いっぱいに溢れそうなほどバイクが並び、車間距離なんてあってないようなものだった。これだけの交通量を見たのはたぶん生まれて初めてだろう。
2人乗り、3人乗りは当たり前。なかには6人家族で乗っているなんていうのもある。あまりの交通量にバイクがあふれ、同じ車線のなかで逆方向に進むバイクがいたりするから危なくって仕方ない。
歩行者はよほど気をつけて横断しないと危ないが、こちらに向かってくるバイクに気をとられて、進んだり立ち止まったりを繰り返しているとかえって危ない。
バイクは歩行者の歩く速度にあわせてよけようとするからだ。一定のペースで歩いていれば、バイクがそれを予測してよけてくれる。止まらずに歩くコツを早くつかむことが重要だ。
バイクの合間を縫いながら、今日も歩いて宿まで帰った。今日は近くのネットカフェに行って3時間ほどブログ更新。気がつけば日をまたいで24日になっていた。
24日といえばクリスマスイブ。明日は午前中に移動するので、イブはカンボジアのプノンペンでむかえることになる。
いきなり新しい国についてじゃ厳しいけれど、いきなりいい出会いなんてないかしら……。