日本を出発してから275日目
ただいま29カ国目
イギリスのロンドンにいます
ヘルシンキからの飛行機がロンドンに到着したのはお昼の12時半。明日の夕方6時の飛行機でロンドンを立つ予定なので、およそ1日ちょっとの間にロンドンを見てまわらなければならない。
言い方を代えると、1日ちょっとの間、できるだけお金を節約しながら観光、宿泊をすまさなければならない。これはちょっと大変そうだ。
ロンドンの物価は日本の約2倍。短期旅行ならわりきってお金を使うところだけれど、今回の場合はむずかしい。残念だけれど、ケチケチ観光を目指さなければ。
空港泊も考えたのだが、空港に荷物を預けようとすると2日で12ポンド(3000円)もかかるらしい。仕方ないのでとりあえず安宿を探そうと市内中心に出ることにした。空港から市内に出るのには一回乗るのに4ポンド(1000円)かかる。いきなり高物価の洗礼をうけてしまった。
ピカデリー・サークル駅まで出て、「エロスの像」の前でマップを広げる。ここがロンドンの中心らしい。日本でいうところの渋谷のハチ公前みたいなところだ。思ったほど「都会」という印象はない。むしろ小ぢんまりした感じで好感が持てた。
ロンドン市内中心部
ロンドンといえば赤い二階建てバス。
何か知らないけど立派な建物
どうしようかと考えた。ロンドンにいられる時間はわずかだが、とにかくバックパックが邪魔でしょうがない。このまま観光地をまわるのはさすがに厳しいので、大英博物館に行ってみることにした。
道に迷いながらも、なんとか大英博物館にたどりつく。ここはロンドン観光で一番楽しみにしていた場所だ。さっそく入場しようとしたのだが、すぐに警備員に呼び止められた。
「この荷物をもって入場することはできないよ」
ある程度予感していたが、やっぱりだめか。たぶんテロ対策などだろうが、館内に大きい荷物は持って入れない。預かってくれることもできないのだ。
仕方なく外に出て宿探しにはいる。候補はキングズクロス駅近くの「ジェネレーターホステル」。けれどなかなか見つからない。わかっているのが最寄り駅だけだったので、なかばあきらめ、今夜はファーストフード店で一夜をすごそうかと本気で考えだしていたのだけれど、探しているうちに別の安宿が運よくみつかったのでそこに泊まることにした。
「ゲストアカウント・クリンク・ホステル」だ。1泊12ポンド(3000円)だった。
チェックインをすませると、急いで大英博物館に向かった。ここは入場料無料だが17時半まででしまってしまう。なにせ馬鹿でかい博物館なので、なんとか今日のうちに少しでも見ておきたかったのだ。
これだけの博物館が入場料無料というのはすごい。勝手に観光にきておいて、その国の物価に腹を立てるというのはひどく自分勝手なのだが、ここがタダ(一応寄付制)なのはおいしい。(それが理由で一番楽しみにしていたのだけれど)
大英博物館
ここは世界中の文明が大小94のフロアにわかれて展示してある。内容もすごい。どうしてこんなものがその国ではなくてここにおいてあるのか疑問に思ってしまうほど豪華な品揃えだ。
作家の池澤夏樹が大英博物館の本を出したときに、「ここをじっくり観ようと思ったら、1ヶ月はかかる」と言っていたが、それもなるほどとうなずけた。しかし、そんなに長いこといたらそれこそいくらかかるかわからない。
明日の夕方の便でロンドンを出なければならないし、他にも見たいものはあったので、時間ぎりぎりまで駆け足で観てまわった。(本当に駆け足というわけにはいかないが、観るというより早歩きで眺めるという感じだった)
こういうものは適当にまわるのが好きなのだけれど、さすがに今回ばかりは館内が広すぎる。パンフレットをもらって、観たフロアにペンでチェックしながらまわっていく。今日は1時間半かけて30のフロアを見てまわった。
ギリシャ文明
あれモアイさん、どこかでお会いしましたね。
閉館すると、その足で市内中央に歩いていき、町並みを眺めてまわった。腹もかなり減っていたのだけれど、とにかく何でも日本の2倍の値段なのでスーパーでさえ気楽に買い物ができない。
歩いていくと、中華街を発見した。僕は中華街が好きだ。中国人だけでコミュニティを作り、そのなかで生活に必要なものをあらかた済ませてしまうことができる。物価も安い場合が多い。
中華街に来ると血が騒ぐ
中華料理店には最近も何度かいっていたけど、中華街となると、ニューヨーク以来ひさしぶりだ。うかれて中華街に入り、スーパーやレストランを見てまわったが、いくぶん物価は安い。ロンドンの物価に負けてたまるかというへんな対抗心もあったので、思い切ってレストランに入ってみることにした。
春巻とチャーハンとカレースープを頼む。春巻は一個で300円、卵チャーハンがすごく小盛で300円、カレースープもちっちゃい茶碗で出てきて350円。これにサービス料がついてしめて1300円。た、高い。
情けないかな、出てすぐに後悔してしまった。だって、すごくしょぼかったのだ……。
あまり外にいるととんでもないことになりそうだったので、そうそうに宿にひきあげた。まだ明日一日ある。明日はなんとしても節約せねば。貧乏バックパッカーにロンドンの町は無理がある。
なぜかヨーロッパには出前一丁が多い。