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ヒロシ君との最後の夜
日本を出発してから257日目
ただいま25カ国目
チェコのプラハにいます


 昨日ミュンヘンを出た夜行バスは早朝5時にチェコのプラハに到着した。さすがにタフな僕も、野宿、野宿、夜行バスとつづくと多少疲れが溜まっているのかもしれない。

 宿はバスターミナルからほど近い「ホステル・エルフ」というユースホステル。1泊320コルナ(1600円)のドミトリーは11時までチェックインできないというわけで、団欒室のソファで仮眠することにした。
 しばらくするとミュンヘンで一緒だったT君がやってきた。彼は昨晩、この宿に泊まっていたらしい。ヒロシ君はミュンヘンに来る前に数日間ここプラハに滞在しており、だいたい町のことは分かっているというので、T君も一緒に3人でスーパーに買い物がてら観光をしにいくことにした。

 火薬塔、旧市庁舎の天文時計と見てまわり、カレル橋までくると、その風景に目を奪われた。ヴルタヴァ川の流れる向こう岸には赤瓦の屋根が立ち並び、その先にはプラハ城が見える。
 曇り空というのもあるかもしれないが、どことなく寂しげであり、どことなく優しげでもある。町全体がほどよい湿度を持っていて、疲れた身体をやさしく包んでくれる。

 プラハ、いい町だなあ……。


火薬塔


旧市庁舎


天文時計




ヴルタヴァ川


カレル橋

 そう思いながら町をしばらく歩き、正午頃にはスーパーで買い物を済ませて宿に戻った。
 仮眠をとって夕方4時に起きると、スーパーで買った食材で夕飯を済ませる。
 今日は疲れたと言っているわけにはいかない。今日のメインは劇場観賞第5弾、バレエ「白鳥の湖」を観にいくことだ。
 今日のメンバーは6人。ミュンヘンメンバー3人と同宿で一緒になった日本人3人だ。チケット料金は100コルナ(500円)。安い。

 ある程度の内容を事前に教えてもらっていたことと、知っている曲が使われていたことで、かなりわかりやすかった。バレエ自体もブダペストで見たときよりもかなり技術的にすぐれていた気がした。
 おまけに気の合った6人で一緒に観に行けたことで、その素晴らしさを共有することができたのがよかった。一人で観に行って余韻に浸るのもいいけれど、みんなで観るのもいい。







 宿に帰ると、明日いよいよお別れのヒロシ君、そして明日で離れ離れになる他の仲間とのお別れ会を団欒室のソファーでビールを飲みながら催した。みんなで楽しく盛り上がり撮影会をやったあと、夜中の2時くらいからはヒロシ君と最後のシーシャ(水パイプ)、最後のギャモン、最後の四つ並べをして彼との旅をしめくくった。

 ちなみにギャモンはヒロシ君の勝ち、四つ並べは僕の勝ちで、この決着は日本で着けようという約束をして朝方4時に床についた。
 最初にペルーのリマで会い、モロッコで2ヶ月半ぶりの再会を果たしてからは会ったり別れたりしながら約3ヶ月半旅をした。一緒にいたのは正味2ヶ月半くらいだろうか。これは今回の旅でお互い最長の旅友だ。
 お互いの旅のスタイルを尊重して、会ったり別れたりしながら旅を続けたのがよかったのだと思う。ほどよい距離をとりながら、一緒にいた3ヵ月半の間にもお互いそれぞれの新しい仲間ができた。

 彼が日本に帰ってしまうのは寂しいはずなのに、なぜかあまり寂しさは湧いてこなかった。またしばらくしたらどっかで会えるような気がしたからだ。アフリカあたりで、アジアあたりで町を歩いていたら後ろからひょっこり声をかけてくるんじゃないか……、そんな気がした。

 まあ、それは実際無理な話なのだけれど、これから日本に帰っても、彼とは会ったり別れたりしながらよき友でありつづけたい。







 
author:tiger, category:Czech, 15:09
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旅と仕事
日本を出発してから258日目
ただいま25カ国目
チェコのチェスキー・クルムロフにいます


 今日からの1週分のブログはちょっと書くのを後回しにしていた。理由はいろいろあるのだけれど、ちょっと考えさせられた1週間だった。後回しになっただけで、ブログの内容にさほど変化はないけれど……。

 今日は別れの日だった。ミュンヘンのビール祭りで一緒だったジン君、T君と宿で別れ、バスターミナルではこの地で会ったY君、3ヶ月間一緒に旅をしたヒロシ君と別れた。
 旅をしていれば、いつも別れはつきまとうが、それを寂しがってばかりはいられない。旅をしていればどこかで別れなければならないし、別れのあとにはまた新しい出会いがまっている。
 最近は別れの際にもあまり寂しいという感情がわかなくなった。これは冷たいとかいうことではないと思う。お互いの旅の無事を祈り、笑って別れる。相手と自分に通じるものがあれば、その人のことは忘れないだろうし、きっとどこかで再会できるはずだ。

 でも今回は3ヶ月間会ったり別れたりを繰り返してきたヒロシ君との別れ。さすがに多少センチになると思っていたが、まったく悲しくならなかった自分がいてちょっと笑えた。彼とはまた絶対に会える。そういう安心感と、次ぎに会うときのワクワク感がそうさせたのかもしれない。

 ヒロシ君を見送ったあと、そのバスターミナルからバスに乗って次の町に移動した。目指すはチェスキー・クルムロフだ。
 この町は旅をする前は全然知らなかったのだけれど、旅人の間で人気が高い。行こうかどうしようか迷っていたのだけれど、昨日一緒にバレエを見に行ったNもその町に行くというので、それなら一緒にいこうということになったのだ。

 プラハからチェスキーまではバスで3時間半、172コルナ(860円)だった。1時半に到着して、まずは宿さがし。宿はNが知っていた「ホステル・ポステル」という宿に決めた。料金は4人部屋を2人で使って1人300コルナ(1500円)。宿自体がすごくよかったことと、チェスキーの町並みを考えれば、これはかなりお得だと思う。








「ホステル・ポステル」。宿のお姉さんはすごくいいかんじ。

 2人ともこの町では1泊だけして次はオーストリアのウィーンに移動する予定だった。けれど、宿探しをしている間にもう1泊しようと決めてしまった。それほどチェスキー・クルムロフは歩いているだけで気持ちのいい町であり、ちょっとのんびりしたいなあと思わせる町だった。

 荷物を置いてさっそく町を歩く。チェスキー・クルムロフの町はこぢんまりしている。まるでミニチュアセットで作られたように町全体に無駄が無いのだ。町のどこを歩いていてもすべてが絵になるからカメラを離す暇が無い。どこかを目指して歩くというよりも、町に見とれながら適当に歩いているとその場所についてしまっているという感じだ。









 それを繰り返していると、いつのまにか町をぐるっと一周してしまう。町が小さいので同じところを何度も通る。2度目にまわったときはその印象も景色もちょっと変わって見えてくる。2度目はカメラもポケットに入れてその景色を堪能できる。うーん、いいことづくめだ。
 さらにこの町のよいところは町全体をヴルタヴァ川が囲むように流れているところだ。水の音を聴いていると、なぜか落ち着く。大河川でないので、すぐ川べりにいって水音を聴けるのがいい。橋の欄干に頬杖をついてボケーっと景色を眺めているのもいい。何も考えずに川べりをのんびり歩くのもいい。

 町の中ではチェスキー・クルムロフ城が大のお気に入りになった。歩いてすぐの場所にあるので昼間と夜の2回訪れたのだけれど、町全体を見渡すと赤い屋根の家々と周囲を流れる川がいいかんじでマッチしていて、ずっと見ていても飽きるということがない。城の裏側にある庭園も心をなごませてくれる。


チェスキー・クルムロフ城


城からの眺め

 町並みということではクロアチアのドブロブニクに似ているかもしれない。あそこも赤瓦の町並みとアドリア海がいい具合に調和しいたが、町の規模やドブロブニクがあまりに観光地化されてしまっていたことなどから考えると、個人的にはチェスキーの方が好きな町だ。
 夜中に見たチェスキーの夜景は明かりがすくなく、ちょっと寂しくはあったけれど、静寂のなかに川音だけが聴こえてきて、それはそれで田舎の町らしくていい気持ちにさせてくれた。





 夕食は川べりのレストランでちょっと豪華なディナーをとった。こういう場所でおいしいものを食べるというのは、それ自体が観光みたいなものだと思う。あんまりケチケチしていたら心まで貧しくなってしまいそうだ。楽しいときには思いっきり楽しまなくちゃもったいないしね。




 話しはかわるが、今回一緒に旅をしているNは今まで会った旅人とはちょっと違う。仕事をやめて1ヶ月間ヨーロッパを旅しているのだけれど、旅をするために仕事をやめたのではなくて、仕事をやめたので旅に出てきたらしい。
 仕事をすることは大好きだという。いろいろあって仕事をやめなくてはいけなくなったのだけれど、「日本に帰ったらもっと仕事をがんばりたい、自分は仕事がすきだから」迷うことなくそう言っている。

 長期旅行者のなかにどっぷり浸かって旅していると、旅をすることが正義みたいな感覚に陥ってしまう。
 みんな旅好きなので、「今度は○○に行ってみたい」「旅というのはすばらしい」「日本に帰って仕事をすることを考えると嫌になってくる」、そんな会話で盛り上がり、気がつくと自分もすっかりそういう空気に入り込んでしまっていた。
「1年で世界を見るなんてことできるはずがない。また時間をとって旅に出たい」最近はそんなことを言うようになっていた。
 
 旅は確かに楽しい。貴重な経験もたくさんできる。この経験は旅でしかできないかけがえのないものだと思う。でも、旅をすることだけが全てで・
author:tiger, category:Czech, 00:16
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チェスキー・クルムロフを観賞する
日本を出発してから259日目
ただいま25カ国目
チェコのチェスキー・クルムロフにいます


 昨日にひきつづき、今日もチェスキーに泊まることになった。あと、まる一日残っている。昨日で町はあらかたまわった。今日一日で新しくまわるところはほとんどないだろう。でも、そこからでも面白い観光はできる。今日の観光はそういう意味で有意義だった。

 今日はNと別々にチェスキーの町を観光することにした。
 別行動についてだけれど、旅を一緒に行動すると、すべて同じ行動をとってしまいがちになる(とくに2人だと)。でも僕は、あまりそういうのは好きではない。一緒にいて楽しいところや食事のときだけ一緒に行動して、あとはそれぞれの旅、それぞれの観光を楽しめばよいと思う。
 3ヶ月間一緒に旅したヒロシ君ともそうだったし、1ヶ月半一緒だったS君ともそうだった。「けっこう冷めてるね」とたまに言われるが、もともとが自分勝手な性格なんだろう。そのほうがお互い気が楽だし、好きなことができる。相手に干渉しないけど、相手も干渉しないでほしい、そんなかんじ。やっぱり僕はB型だ。(ちなみにNもB型だ)

 というわけで、Nは日中、チェスキーの町をスケッチしに行くという。Nは日本でグラフィックデザイナーをしていて、デザインをしたり絵を描いたりしていたらしい。あとで描いた絵を見せてもらったけど、絵を描けるのっていいなと思う。それ自体が描く人の心をやさしくしてくれそうだし。(僕も描いてみようかなあ……)
 僕はといえば、特にすることもなく、土産物屋に入ったり、川べりのベンチに腰掛けて日記を書いたり、思いついた場所に適当に足を伸ばして、気がつけば結構な距離を歩いていた。(これは簡単にできそうだけれど、案外できる町は少ないように思う)
















加藤茶の家がありました。

 この町は歩いていても疲れない。どこを歩いていても充実感があって、移動というものが存在しないからだ。しかも今日まわった場所はほとんどが昨日一度きた場所だった。
 2度目に訪れた場所は気分的にも時間的にものんびり見ることができる。写真を撮るという義務感にもかられない(それでもまた撮ってしまうのだけど……)。「観光」と「観賞」は違うと思うのだけれど、昨日のが「観光」なら今日のは「観賞」だったと思う。

 Nとは夕方5時に宿で待ち合わせをして食事をしようということになっていたのだけれど、町のアートギャラリーで偶然鉢合わせた。
 絵は一応描き終わったというので、僕が今日見てきたチェスキー・クルムロフ城の裏にある庭園の湖に一緒に行ってみることにした。2日間で4度目のチェスキー・クルムロフ城。城もいいけれど、その裏にある庭園は通路が楽園への入り口みたいになっていてそそられる。









 自然いっぱいの庭園で別に会話をするでもなくのんびりすごし、まわりが暗くなったあたりで、昨日のレストランに夕食を食いにいった。連日の贅沢だけれど問題なし。ビールと美味い飯を食って(ここのポテトサラダは絶品だった)宿に戻った。



 今日はチェスキーの町をまわりながら、一日中、仕事のことを考えていた。頭の中でいろんなことが行ったり来たりしながら、行き詰ると場所をかえて同じことを考えていた(昨日のブログ参照)。もちろん結論はでないのだけれど……。
 夜中も2時半までNと話し込んでしまった。
author:tiger, category:Czech, 00:40
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1週間ぶりにプラハに帰還
日本を出発してから264日目
ただいま26カ国目
チェコのプラハにいます


 1週間ぶりにプラハに帰ってきた。「白鳥の湖」を見たのも、ヒロシ君を見送ったのも、まだたった1週間前のことだ。あれからずいぶんといろんなことがあったような気がする。

 人間の脳ははじめてすることに対して、時間の経過を長く感じてしまうらしい。初めて地図で目的地に行くとき、ずいぶん距離があったと感じてしまうのに、帰り道は同じ時間歩いていても、意外に短く感じてしまうのはそのためだという。
 小学校のころは長くかんじた1年が、社会人になって同じところでずっと働いていると、あっという間に1年がすぎていくのも、それと関係しているらしい。
 というわけで、この1週間もずいぶん初めての経験があったということだろう。

 バスターミナルに降りると、すぐに次のバスチケットを入手した。ベルリン行き夜行バスが750コルナ(4000円)だった。Yちゃんはここからバスでスイスのチューリッヒに行く予定だったのだけれど、バスターミナルについてからも相変わらず悩んでいた。
 一生懸命お金の計算をして、ルートを考え直している。1週間後にトルコのイスタンブールで友達と待ち合わせているらしいのだが、スイスで現地に滞在している妹に会ってから飛行機で飛ぶか、ブルガリアにいってのんびりしてからトルコに入るか、それとも一気にトルコまでいってしまうか……。

 そういう時、僕はあまり自分の意見を言うことはしない。それぞれの選択肢に対して客観的な意見を言ったり、アドバイスすることはあっても、結局決めるのは自分だから、こちらが「こうしろ」と言っても仕方ないだろうと思うからだ。

 でも、それは僕の場合がそうだからかもしれない。あまりにも悩んでいる埒があかないので、「そんなん、スイスに行ったほうが絶対いいって。せっかくだから妹に会いなって」と言ってしまった。
 結局、彼女はそれを選択したのだけれど、自分で決めかねていたことを後押ししてくれたことで感謝されてしまった。(後日、スイスにいってよかったというメールも入った)

 そんなもんなんかなあとも思う。人それぞれ性格も違うので一概には言えないけれど、アドバイスではなくて、無理矢理押し出してあげることも時には必要なのかもしれない。僕の場合は今のところ、それで決めることはないと思うけど。(このへんもB型なのか……)

 Yちゃんが今日の夜行バスでチューリッヒに行くことになったので、それまで僕が泊まる宿に荷物を預けて、プラハの町を軽く観光することにした。
 観光といっても町を歩くだけだ。でも、それがプラハという町は心地いい。カレル橋を歩いているだけで心が安らぐ。


火薬塔











 明日は一人でプラハの町をまわってみよう。ひさしぶりに一人になれたことだし、もう一度いろいろと考えてみるのもいいかもしれない。



author:tiger, category:Czech, 01:40
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プラハという町
日本を出発してから265日目
ただいま26カ国目
チェコのプラハにいます


 いきなりブログが一週間とんでしまった。実はこの間、いろいろと考えさせられることがあり、自分でもまだまとまりきれてないので、その期間はもう少し時間が経ってから書こうと思う。一応毎日書くつもりでいるので。

 プラハには1週間ぶりに昨日戻ってきた。今日はまだいっていない観光地を中心にまわることにした。
 まずはプラハ城を目指す。プラハ城は小高い丘にあり、そのなかの聖ヴィート大聖堂はかなり見ごたえがあった。螺旋階段を登って展望台にあがると、プラハ市内が一望できる。登ること自体は好きではないのだが、高いところから景色を眺めるのは好きなのでしばらく手すりによりかかってプラハの町を眺めていた。






聖ヴィート大聖堂






聖堂内のステンドグラス

 プラハは町並がいい。中欧の国はこれまで7カ国まわっていて、どの国もいい雰囲気をもっていたが、この町はとくにいい。ブルタヴァ川とカレル橋と周囲の赤瓦の家並みがちょうどいい感じで調和している。
 派手すぎもせず、窮屈すぎもせず、かといって閑散としているわけでもない。そこにいるだけで自然に町の空気に溶け込める。





 カレル橋を歩いていると、絵を売っている人が橋の両サイドにいて、それ自体が風景の一部になっているように感じられた。決して客寄せをすることはない。ただ穏やかな顔をして立っている。
 アコーディオンを弾く人、バイオリンを弾く人、ギターを弾く人もいて、道行く人を楽しませてくれる。この町は芸術と音楽の町だということがこの橋を渡るだけでわかる。






ここを触ると願い事が叶うらしい。





 そう思いながら歩いていたら、他の観光地に行こうという気がなくなってきた。今日はまだプラハ城しか行っていないのだけれど、あとは適当に町を歩こう。そこでたまたま有名な観光地にでくわしたら、外観を楽しんで移動しよう。

 町を歩きながら、土産物屋などにプラっと入り、絵葉書や土産物を物色する。観光観光した買い物はあまり好きではないのだけれど、土産物屋はその土地の色が出るので面白い。
 その中の一軒でプラハの町並みをモノトーンで描いた表紙の1冊の小さなノートを見つけた。なかの紙も無地でよいものを使っているようだ。土産物屋もある程度買う可能性を持ちながら歩かないと面白くない。
 値段も手ごろだったので1冊購入して店を出た。





 今日は夜行バスでベルリンに移動する。7時頃に宿に戻ってみたけれど日本人は誰もいない。1週間前は日本人が7人もいたのに今回は完全に一人。一人で宿を出て一人で暗い道を歩く。バスは深夜11時55分にプラハのバスターミナルを出た。
 
author:tiger, category:Czech, 07:30
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