- 欧州最大のビール祭り、オクトーバーフェスト!
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2007.10.01 Monday日本を出発してから255日目
ただいま24カ国目
ドイツのミュンヘンにいます
「オクトーバーフェスト」。これは毎年9月末から10月にかけてドイツのミュンヘンで行われるヨーロッパ最大のビールの祭典だ。ビール党としてはこのイベントには参加しておかなければならない。
今回だけは、物価の高いヨーロッパといえども盛大に楽しもう。これを旅の最後のイベントにして帰国する旅友ヒロシ君ともこの地で合流することになっている。また、旅で会った他のビール好き旅人2人もここミュンヘンで合流する。
総勢4人の日本人旅人がビールを飲みにミュンヘンに結集するのだ。
駅での2時間野宿を終え、朝6時半、ミュンヘン中央駅でヒロシ君と合流した。彼とは9日ぶり、通算10回目の再会だ。他の2人は夕方に会場でおちあうことになっているので、とりあえず明るくなるまでカフェで時間をつぶし、そのあと市内観光をすることにした。
朝飯。パンにベーコンを挟んだだけ。でも美味い。
市庁舎。
2人ともあまり寝ていなかったので、観光もほどほどにオクトーバーフェストの会場へ向かう。
11時半には会場に到着。会場は遊園地のなかに作られたいくつもの巨大テントで、各ビール会社がそれぞれのテントに席を用意し、中央にバンド隊をおいて盛り上げ、その周りの席でビールを飲むというかんじになっている。
正面がHBのブース。
最初に入ったブースは「HB」というドイツのビールメーカー。テントの中に入ると周りは昼間だというのにほぼ満席で、ほとんどの席がリザベーションになっている。運良く空いている席を見つけて座ると、まずはお待ちかねのビールを注文した。
ビールジョッキのサイズはすべて1リットル。日本の生中の倍の大きさだ。値段は8ユーロ(1280円)とかなり高いが、こんなときにお金のことを気にしていても仕方ないし、そんなことを気にしていたら楽しいものも楽しめなくなる。
このビール祭りには今日と明日の2日参加予定。この間はお金のことは気にしないでビールを思う存分楽しもう。
となりのドイツ人のおっさんが、よっぱらって話しかけてきた。全てドイツ語。全くドイツ語がわからないので、このおっさんの相手はヒロシ君にまかせて(もちろんヒロシ君もドイツ語はわからない)、僕はとりあえず会場視察することにした。
いや、みんなよく飲んでる。若者から老夫婦まで、この日を楽しみにしていたのか、普段からこれくらい飲んでいるのか知らないけれど、空のジョッキがテーブルの上にあふれていた。
もうこんなに飲んでるんかい。まだ午前中だよ。しかも、これみんな1リットルジョッキだし……。
こうしちゃおられんと自分のテーブルに戻り、急いでジョッキを飲み干して2杯目に突入した。
ちなみにヒロシ君は1杯目半ばですでに真っ赤な顔をしてへばっていた。
3時間ほどでブースを出て、芝生のある場所で小休止。夕方から2人合流するので、ここで少しでも酔いをさましておかなければ……。僕自身も2杯とはいえ、2リットル飲んでいる。おまけに睡眠不足で、さすがに足元がふらふらしていた。
午後5時、ヨーロッパで出会った旅友、ジン君とT君と合流する。飲める席を探して各ブースを歩いてまわったものの、もうどの席もお客でいっぱい。とても入れそうになく、空いていてもリザベーションになっていたので、仕方なくテントの外に出してあるテーブルで飲むことにした。
とりあえず1杯飲んだあたりで、早くもT君泥酔。あまりお酒は強くないらしいが、それはちょっと早すぎるでしょ!
T君ダウン。
時間も遅くなると、中のテントはさらに盛り上がりを増しているようだ。いてもたってもいられなくなり、テントの中に入っていくと、みんなホント馬鹿みたいに盛り上がっていた。
見ているこっちも楽しくて仕方ない。わけもわからず、見ず知らずのドイツ人とジョッキを重ねる。
「アーユーハッピー?」
「イエスイエス、ベリーハッピー!」
まあ、終始こんな調子だ。
この興奮、会場に行かないと伝わらないだろうなあ。もうここは自分の筆力のなさを嘆くことはしません。無理です。この興奮は僕にはどうあがいても伝えることはできません。
てなわけで、ここは写真で少しでも雰囲気を味わってもらうことにしよう。
夜中の11時くらいに会場を出ると、ジン君とT君と別れ、ヒロシ君と2人で駅に戻った。
なぜ明日もビール祭りに参加するのに駅に戻ったかって? それはもちろん、今日も駅構内で野宿するため。
かなり酔っ払っていたので、昨日よりぐっすり寝れました。
明日も飲むぞー!!!
野宿。今日はちょっとすいていた。
- ビール祭り2日目
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2007.10.02 Tuesday日本を出発してから256日目
ただいま24カ国目
ドイツのミュンヘンにいます
オクトーバーフェスト2日目。朝4時半、駅員に起こされて目を覚ますと、かなり冷え込んでいた。
野宿で辛いのは朝。起きたところで休む場所もない。仕方ないので構内で時間をつぶして今日も市内中央へ。1時間ほどぶらついたあと、スーパーで朝飯を買って、公園で朝食をとった。
で、そのまま芝生の上で昼寝。2人ともあまり寝てないので熟睡だった。
昼すぎからは、市場をまわった。ここの市場は面白かった。土産物や野菜、花などが色鮮やかに、しかもオシャレなかんじで並べてある。このへんはさすがヨーロッパといったところか。
ハムやソーセージ、ベーコンなども多くの店の店頭で売られていて、パンに挟んでサンドイッチにして安価で食べることができる。せっかくなのでいくつか買って、ビール祭り用にリュックに入れて持っていくことにした。
午後3時、会場入りする。T君は今日の昼の便でプラハに移動するので、今日はジン君と午後4時に会場で待ち合わせしている。
とりあえずちょっと早いけど、ヒロシ君とテントの外のテーブルで飲み始めた。もうこの時間だとテントの中はいっぱいで入れないのだ。
女の子はこういう衣装を着る。
午後4時。ジン君との待ち合わせの時間にはすでにヒロシ君はすっかりできあがっていた。
とりあえず3人集合。どうせだから男3人で盛り上がるかと、ヒロシ君が購入したミニジョッキを使って、懐かしの「山手線ゲーム」大会をした。
すでにへろへろのヒロシ君だったけど、ここでも頑張って飲むところが男前だ。やっぱ男はそうでなくっちゃね。
今日も飲みまっせ!
気がつくと、ゲームに負けまくり、すっかり酔っ払ってしまっていた。いつのまにかヒロシ君の酔っ払いぶりに肩を並べ、テントのなかでしばしはしゃいだあと、会場脇の芝生の上でヒロシ君と2人で眠っていた。
寒くて目が覚めると雨が降っていた。ジン君はどっかにいなくなっており、2人でフラフラしながら駅まで戻った。
今日の夜行バスでチェコのプラハにむかわなければならない。なんとかバスターミナルにたどりつくと、バスに乗った瞬間に眠りに落ちていた。
2日間のオクトーバーフェスト、いや、楽しかった楽しかった。そして疲れた疲れた。
- ベルリンのホームパーティ
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2007.10.12 Friday日本を出発してから266日目
ただいま26カ国目
ドイツのベルリンにいます
バスは午前5時にベルリンのバスターミナルに着いた。てっきり一人だと思っていたバス車内には日本人がいて、しかもその日本人は3ヶ月半前にバルセロナのユースホテルで同じドミトリーに泊まっていたRちゃんだった。
スペインに語学留学にきているRちゃんはちょうどヨーロッパを短期旅行中で、同じ語学学校のブラジル人女性と2人で旅をしているのだという。連れのブラジル人女性はお嬢様育ちでわがままなところがあり、この旅ではかなり手こずっているようだった。
とりあえず地下鉄で途中の駅まで行って別れると、あらかじめあたりをつけておいたユースホステルに向かった。
「A&Oホステル」はドミトリーが1泊10ユーロ。ドイツにしてはかなり安い。宿に着いたのは8時だったが、チェックインは2時までできないというので仕方なくロビーのソファで仮眠をとった。
今回ベルリンに来たのにはわけがあった。本当は来る予定はなかったのだけれど、4月に中米のグアテマラであったドイツ人女性、ナディアから少し前にメールが入り、まだ旅をつづけていて、もしヨーロッパに来る機会があったら、ぜひベルリンに遊びにきてくれと連絡があったからだ。
ベルリンにそこまで行きたかったわけではなかったのだけれど、僕のことを覚えていてくれ、誘ってくれたことが嬉しくて足を伸ばすことにしたのだ。
午後2時に宿で待ち合わせをすると、彼女は15分遅れてやってきた。顔をみるとすぐに彼女とわかった。4ヶ月ぶりの再会を喜びあう。今日は夕方まで空いているらしく、そのままベルリンの町を案内してもらうことになった。
さすがに現地人がいると違う。列車、地下鉄、路線バス共通の1日券を購入すると(6・1ユーロ)、たくみにそれらの交通手段を使って、半日でベルリンの見所をまわってくれた。
ベルリン大聖堂、ペルガモン博物館、シナゴーグ、ドイツ連邦議会議事堂、ブランデルブルク門、テレビ塔、ベルリン動物園、そしてベルリンの壁……。
建物の中に入ることはなかったが、そこまで入りたいものはなかったので、外観と町の雰囲気を楽しめて満足だった。
テレビ塔
ベルリン大聖堂
ペルガモン博物館
ドイツ連邦議会議事堂
ベルリン動物園
カイザーウィルヘレム
東西ベルリンの国境線をまたぐ。ここにベルリンの壁があった。
ベルリンの壁の一部。
午後7時にナディアと別れると宿に戻り、ヨーロッパで何度か会っている日本人旅人、ジン君と再会した。
彼とは1週間くらい前にプラハで別れていたのだが、僕がベルリンにいる時期に自分もベルリンにいるから、できたら再会しようということになっていた。
彼にはドイツ在住の友達がいて、そこに今居候しているのだという。今日はその家でホームパーティがあるのでこないかと誘ってくれた。
彼の友達とは会ったこともないのにいいのかと聞くと、「そんなんぜんぜん大丈夫。ざっくばらんな会だから」という。
ドイツのホームパーティがどんなものかも知りたかったし、ちょっと面白そうだったのでおじゃますることにした。
ジン君の友達はSちゃんといい、家はかなり広い。これで家賃が月3万というのだから驚きだ。彼女はここベルリンでデザイナーの仕事をしているらしい。
8時半に家に行ったときにはまだお客は僕ら2人しかいなかった。それが時間がたつにつれ、ぞくぞくと増えてくる。いろんな人間が出たり入ったりしているのでよくわからなかったが、気がつけば家には10人以上の客がいた。男も女もみんな気さくで、英語のあまり話せない僕にもフレンドリーに話しかけてくれた。
ドイツ人、フランス人、韓国人、日本人……。とりあえず国籍がわからないがいろんな国の人間がいるみたいだ。Sちゃんの友達だけでなく、Sちゃんの友達の友達も家に来ているので、もうなにがなにやらわからない。
最初はこんなかんじ。
しだいにこんな感じに。
嬉しい夜食、おにぎり。
ピザを家で焼いて、みんなで酒を飲む。Sちゃんの友人のDJが音楽を巧みに操り、その曲にあわせて部屋のなかでみんな楽しそうに踊っている。
ドイツ在住中のSちゃんも、同じくドイツ在住中のSちゃんの日本人友達もノリノリでビールやワインを飲みながら踊っていた。
さすがだなあ……。
そう思いながらも、その空気に入っていくにはやはり抵抗があった。それは僕が日本人だからだろうか。
みんなでわいわいすることは好きだけれど、その国の文化が身体に染み付くまでには時間が必要なのかもしれない。
当たり前のようにみんなマリファナを吸っている。それをまわす。ビールもまわす。で、踊る。抱擁する……。彼らはみんな楽しそう、日本とは違って本当に自由だ。
この文化を拒否するつもりも、否定するつもりも全くないけれど、ずっと日本で育ってきた僕からすれば、同じ日本人の女性がそれをやっている姿を見て何を思ったかというと、正直ひいてしまった。
彼女たちはこのノリについていけているからこそ、ここベルリンで生活できるんだろうとも思ったけれど。
だんだん人数が減りながら、結局この会は朝6時頃までつづいたという。いつもだいたいそんな感じらしい。
僕はといえば、3時半くらいにおいとまして宿に帰って寝たのだけれど、年齢とか性格とかじゃなく、この文化のギャップに面食らった夜だった。
- ドイツで『鉄コン筋クリート』を観る
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2007.10.13 Saturday日本を出発してから267日目
ただいま26カ国目
ドイツのベルリンにいます
今日は昼前に起き、ビールを買ってSちゃんの家に行った。とりあえず暇だったので、ジン君とビールを飲みながら話していた。
Sちゃんは昨日はかなり飲みすぎて、あきらかに二日酔いのもよう。仕事について色々聞きたかったのだけれど、やめておいた。
夕方からは、みんなで映画を観に行こうということになった。その映画は邦画『鉄コン筋クリート』。松本大洋の漫画を映画化した作品だ。
内容を簡単に言っておくと、ヤクザの取り仕切る昔ながらの下町・宝町を根城にした2人の少年が、生き残りをかけてヤクザと戦っていくというものだ。言葉は日本語で独語スーパーなので僕でも観れる。
個人的にいうと、映画自体はまあまあだった。ストーリーとキャラクターはよかったけれど、ちょっと演出が臭すぎて僕には少しはなについたが、まあ、いい映画だと思う。
でも、それより気になったのは観に来ていたドイツ人の反応。日本の文化も歴史も知らない人間が、この映画を観てその真意が掴めるかということだ。
そもそも、ヤクザとは何か正確に知っているのか? 主人公の2人の少年の名前、シロとクロがスーパーでは「WHITE」と「BLACK」になっていた。そう訳すしかないんだろうが、日本人がもつ「シロ」と「クロ」というイメージをドイツ人が「WHITE」と「BLACK」という言葉で共有しているとは思えない。
案の定、会場の盛り上がりはイマイチだった。日本にしばらく住んである程度日本の文化や歴史のわかるドイツ人ならこの映画の意味がわかるかもしれないけど、さすがにこの内容だと無理があるように思えた。
昨日につづき今日も異国との文化の違いを感じさせられた。こればかりは簡単にはいかないもんである。でも、それが面白いところでもあるのだけれど。
今日の夜食はビッグケバブ。(2・5ユーロ)
- 野宿慣れ。
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2007.10.14 Sunday日本を出発してから268日目
ただいま26カ国目
ドイツのベルリンにいます
今日は昨日にお昼前に起きて12時にチェックアウトを済ませた。
次なる目的地はポーランドなのだけれど、ちょうどいい夜行バス、夜行列車がなく、一番安いのが早朝発のバスだったので、明日朝6時15分のポーランド・クラクフ行きのバスチケットを入手していた(29ユーロ)。
出発時刻が朝早く、宿からバスターミナルまでは少し離れていたので、それならバスターミナルで一夜をあかそうと考えてチェックアウトしたのだ。
今日も昼過ぎにSちゃんの家におじゃまさせてもらって、ぐだぐだしたあと、夕方の4時前くらいに家を出て、列車に乗って一人で夕飯を食いにいった。
今日はナディアがバイト先のレストランで僕にディナーをごちそうしてくれるという。レストランの最寄り駅はちょっと遠かったけれど、タダでレストランで飯が食えるなんてたまらない。
ナディアはインドレストランで働いていた。本当はドイツ料理の食えるレストランを期待していたのだけれど、そこまで贅沢をいったらバチがあたる。久しぶりにチキンカレーを頼んで、あっという間にたいらげてしまった。
ナディアとはこれでお別れ。つぎに会えるのはいつになるかわからないけれど、今回があったから、もしかしたら次回もあるかもしれない。
ナディア
夕方6時には暇になってしまった。列車料金も2・1ユーロ(340円)と高いのであまり移動もできないし、お金もない。やることがなくなってしまい、そのままバスターミナルまで行ってしまった。
6時半にバスターミナルに到着。出発まではまだ12時間もある。こんなときに誰か日本人の旅仲間がいてくれたら話相手に助かるのだが、今日は一人。運良く待合室が広く、ベンチも寝やすそうだったので、9時くらいにはベンチに横になって寝てしまった。
最近、夜行での移動や野宿が多いので、こういう寝にくい場所での睡眠にも慣れてきたのかもしれない。「野宿慣れ」。あまり響きのいい言葉ではないけれど、生活環境なんてつまるところは「慣れ」なのかもしれない。
途中何度か起きながらも、早朝の出発時刻まで6〜7時間寝てしまった。これじゃ、いつもより睡眠時間が長いではないか。