- 「アドリア海の真珠」ドブロブニク
-
2007.09.11 Tuesday日本を出発してから235日目
ただいま21カ国目
クロアチアのドブロブニクにいます
サラエヴォのバスターミナルを出たのは午前7時15分。早朝にもかかわらず、一人の現地人がバスターミナルに見送りに来てくれた。昨日家に招待してくれた女性、ジャスナだ。
昨日は何にも言ってなかった。ただ、明日は7時過ぎのバスでクロアチアに行くと伝えていただけだ。
彼女はお土産として僕にボスニアの紙幣をくれた。
「これは思い出として大事にとっておいて」
思わず胸がキュンとなる。もうこの地を訪れることは多分ないだろう。でも、彼女にはもう一度会いたいと思った。ひょっとしたらまたこの地を訪れるかもしれない。なぜなら彼女と再会したとき、彼女はきっととびきりの笑顔で喜んでくれるだろうから。
バスに揺られること7時間。お昼の2時頃にバスはドブロブニクのバス停に到着した。
バスを降りると、なぜかそこに見覚えのある顔がある。あごひげをたくわえ、黒く焼けた肌でこっちを見ている。ヒロシ君だ。
いつこの町に来るかも、何時に到着するかも伝えていない。たぶんこれからこの町を出るんだろうと思っていたら、なんと僕をお出迎えに来てくれたらしい。
バスから見た移動中の風景。
「いや、たぶん1日遅れでソフィアを出るとか言ってたから……。サラエヴォからここに来る便って、これしかないでしょ。宿の位置がわからないと思ったから迎えにきたんですよ」
いやいや、どうもすいません。さすがこの旅イチ行動をともにしている旅仲間だ。僕の性格だけじゃなく、行動パターンも読めている。
ヒロシ君に道案内をしてもらい着いた宿はバスターミナルから徒歩10分のやや高台にあるプライベートルームだった。料金は100クーナ(2100円)。キッチンフリー、洗濯フリー、部屋はツインで居心地がよく、おまけにテラスからの見晴らしは最高で、ドブロブニクの港と赤レンガの屋根で有名なドブロブニクの街並みが一望できる。
さすがヒロシ君、ナイスチョイス!
少し遅い昼飯をヒロシ君にごちそうになり、テラスでビールまで出してもらった。
「いや、普段は一人で飲むことなんてほとんどないんですけど、この町を見てたら、あまりにいいんで、ついついビールを買って一人で飲んでましたよ」
なに、それはすごい。こりゃ、僕なんて何本ビールを飲み干すかわからんなあ。
夕方からはドブロブニクの最大の見所、旧市街を探索にいった。小雨の降るあいにくの空模様だったけれど、それでもすごいと思わせるだけの説得力のある町並み。
この町は宮崎アニメ「紅の豚」のモデルとなった町だ(少し前まで「魔女の宅急便」と勘違いしていたけれど)。「アドリア海の真珠」といわれるこの町並み、もうしばらくここに滞在して、しっかり堪能しようと思う。
今日はここまで。赤レンガは天気の良い日にとっておきます。
夜中にはスーパーで買いこんできた食材でヒロシ君と自炊した。鶏をまるごと1匹買ってきたので、それで煮込みスープと照り焼きを作り、砂肝の野菜炒めとサラダも加えて、今日の夜はかなりの豪華メニューだった。
もちろんドリンクはビールとワイン。ちょっと寒かったけど夜景も見れて、ドブロブニク初日の夜を最高の形でむかえることができた。
- ヌーディストビーチで裸になる
-
2007.09.12 Wednesday日本を出発してから236日目
ただいま21カ国目
クロアチアのドブロブニクにいます
ドブロブニク2日目。本日は快晴なり!
昨日の悪天候からうってかわって、今日は朝から雲ひとつない晴天に恵まれた。
ドブロブニクの朝
ほぼ市内観光を終えたヒロシ君は今日の夕方の便でこの町を出て移動する。最後のドブロブニクの1日をどうしようかと悩んだのだけれど、結局今日はヒロシ君もまだ行ってない町から10分ほどの無人島、ロクルム島に行ってみることになった。
気温はやや低く、泳げるかどうかは微妙だったのだが、せっかくこの綺麗なアドリア海にきているのだから、1回くらい泳がないともったいない。可能なら泳ごうということになったわけだ。
宿から旧市街まで歩き、さらに旧市街のなかを突っ切ってフェリー乗り場まで歩く。旧市街も今日は赤レンガが太陽に照らされていい感じだ。アドリア海も紅海とはまた違った深いブルーで僕らを誘っているように見える。
アドリア海。この海はすごい。言葉でうまく説明できない自分がもどかしいが、とにかく綺麗なのだ。それもちょっと高級感漂う美しさなのだ。そしてそのアドリア海の真珠といわれる町並みもいい。
赤レンガと深青の海が本当によくマッチしている。こりゃ宮崎駿がこの地をアニメのモデルにするのもうなずける。
フェリー乗り場
ロクルム島
フェリーは15分ほどでロクルム島に到着し、海沿いを歩きながら島の反対側まで移動する。目的地は島の東側の
ヌーディストビーチ。
アドリア海で泳ぎたいのはもちろんのこと、「ヌーディストビーチ」というものがいかなるものか、はっきりいって興味ある。
だって、裸でしょ。全裸。ありえないじゃん、普通。
ビーチは砂地ではなく、岩場だった。岩場を登りながら歩いていくと、「ヌーディストビーチ」という看板があり、ところどころに十数人の裸体が見える。
水着をつけている人も中にはいるが、全裸もたしかにいる。
うわっ、ほんとにヌーディストビーチだ! すごい!
とりあえずビーチの終点まで歩いて行ってみることにした。途中、何組かの全裸カップルの脇を通ったが、なんとなくそわそわして自分がぎこちないのがわかる。全裸なのだから目のやりばに困ってしまうのだ。
さすがにこの光景は異様だった。こちらが目のやり場に困り右往左往しているのに対し、全裸のゲイさんたちはまったくこちらを気にする様子がない。普通にアソコを出して、目の前を通っても反応するようすもない。
これがヌーディストビーチというものなのか……。
全裸年齢は思いのほか高い。20代とみうけられる人間はほとんどいなく、40代〜60代あたりがほとんどだろうか。ビーチの奥のほうに行くと、女性の姿が全くなくなった。女性の姿がないというより、男性ばかりが固まっているのだ。
これは噂にきくゲイさんたちでは……。ゲイさんたちを否定する気はまったくない。でも、そのなかに突入していく勇気もさすがに持ち合わせてはいなかった。
ゲイゾーンの人間もまったく自然。いや、自然というか、むしろ見られるのが快感なのかと思ってしまうほど落ち着きはらってイチモツをさらけだしている。
別にたいしたイチモツでもないのに……。
僕とヒロシ君は結局カップルのゾーンにも、ゲイのゾーンにもいけず、その中間の岩場で身体を焼くことにした。さすがに全裸になるのは抵抗感があるので、海パンは着用。来る途中に買ってきた白ワインを飲みながらアドリア海を眺めていた。
30分後……。気がつくと僕は全裸になっていた。昼間からワインをかっこんですっかりいい気分になり、気がついたら裸で寝てしまっていたのだ。
目が覚めてみると、ヒロシ君はまだ海パンをはいたままだった。
「ヒロシ君も脱いだらいいじゃん。なかなかいいよ、コレ。これも経験、ここでしかできんのだからやらんと損じゃん」
ワインはほぼ僕一人で飲んでいたので、シラフの彼はまだ躊躇しているようだったが、これで脱がないとノリが悪いと思ったのだろうか、まわりを気にしながらも全裸になった。
とくに人が多いわけでもない。誰かがこちらに注目しているわけでもない。いけないことをしているわけでもない。ただ裸になって海と空を眺めているだけだ。何の問題もない。
勢いそのままに岩場から全裸でアドリア海に飛び込む。今月初旬に欧州を襲った寒波のせいか、水温はかなり低い。寒い……。
でも、それでも慣れると気持ちいい。何も身につけていないことと、何も身に着けていない自分がいることに。
はい、コレ、全裸です。
途中、岩場にいると、ボートで観光客がビーチを横切った。
「見て見てアレ!」
「いやだー! すっぱだかよ!」
「きゃー! すごーい!」
「ねえねえ、写真とらなくちゃ!」
「ええー、いいのー? でもせっかくだから撮っちゃおうかしら!」
たぶんそんな会話をしているのであろう。日本人のおばちゃん観光客たちが大盛り上がりでこちらに視線をむけている。
うわー。勘弁してくださいよ。はずかしい。。。
こちらが赤面し、目をそらしているのに対し、ゲイゾーンの現地人男性たちはその声援?に応えて仁王立ちでおばちゃんたちに手を振っている。このあたりはさすがだ。
2時間ほどビーチで全裸を楽しみ、白ワインがなくなったところで島を出ることにした。ゲイゾーンとカップルゾーンの間にいた僕らは、多分ゲイの仲間だと思われていただろう。それはそれで思われるだけならなんともないのだけれど、むしろ怖いのはこの開放感の心地よさ。
クセになろうにもなる場所がないので安心だけれど、また機会があれば全裸もいいかなと思ってしまった。
とりあえずわかったことは、ヌーディストビーチに「エロ」はほとんどといっていいほど存在しなかった。それならばバルセロナでいったビーチのトップレスガールのほうがよっぽどエロい。
やはり全部脱いじゃうと興ざめしてしまうのだ。これは新たな発見だった。
宿に帰って今日は4時から早めの夕食。メシを食い終わるとヒロシ君をバスターミナルまで見送った。彼は今度もまた一足先に次なる地へ移動する。僕はもうしばらくドブロブニクにいることにしようかな。
アイスクリーム。これは美味かった。
- 絶景!ドブロブニク!
-
2007.09.13 Thursday日本を出発してから237日目
ただいま21カ国目
クロアチアのドブロブニクにいます
ドブロブニクといえば赤レンガの綺麗な町並み。どれくらいドブロブニクにいるかは今日の午前中まで悩んでいたのだけれど、とりあえず今日の昼間に旧市街をまわれば観光はほぼ終了すること、綺麗な風景を見ながら美味しいお酒を飲むという目的も昨日一昨日でほぼ満足できたので、今日の夜行バスでこの地をたつことにした。
というわけで、今日は昼前から旧市街を観光。まだ旧市街の遊歩道を歩いていなかったので、ここをまわってドブロブニクの観光を終えることにした。
旧市街までの道のりもなかなか。
遊歩道は旧市街を取り囲む要塞の上をぐるっと一周しており、ここからの眺めは最高だとヒロシ君から聞かされていた。
ここはアドリア海と赤レンガの見事なコラボレーションを写真で見てもらおう。(また写真で逃げてしまった)
要塞の入り口には門番が。
どうですか? すごいでしょ。でも写真よりも実際に見たほうがずっとずっとすごい。興味のある方もない方もだまされたと思って是非お立ち寄りください。
今日は一人で自炊。最後のテラスディナーです。
宿のおばちゃん。すごくお世話になった。
- 日本人画家原田泰治氏
-
2007.09.14 Friday日本を出発してから238日目
ただいま21カ国目
クロアチアのザグレブにいます
早朝7時にバスはクロアチアの首都、ザグレブに到着した。ザグレブに特別寄りたかったわけではなく、どちらかというとその南にあるプリトビッツ湖畔にいきたかったのだけれど、バスの便の関係でとても面倒くさいことになるのでやめておいた。
なので、今日は午前中にザグレブを観光し、午後にはスヴェニアに移動する予定だ。
ザグレブ市内はそれほど広くなく、せかせか色んなところをまわっていたので、それらは写真で見てもらおう。
聖母被昇天大聖堂
青果市場
魚市場
石の門
聖マルコ教会(現在工事中)
共和国広場
ザグレブ植物園
ザグレブの街並み
このほかに聖マルコ教会の近くにあるナイーヴアート美術館というところを訪れた。ここには庶民を描いた素朴な絵画が多数展示されており、ハンガリーのものが中心なのだが、そのなかに一枚、懐かしい絵画を見つけた。
日本の農村を描いた絵画だ。描き手の名前を見ると日本人画家原田泰治氏の作品らしい。
彼はこの地にきてナイーブアート(庶民を描いた絵画)に魅せられ、その後なんどもクロアチアを訪問、数年前にはこれらの絵画を日本にとりよせて、ナイーブアートの展覧会を地元諏訪で行っている。
実は僕、以前から原田氏のことは知っていた。仕事関係で、雑誌を何度かお送りしたことがあったのだが、こんなところでお会いすることになるとは……。面白いもんである。
観光もほとんど終わり、最後に植物園をまわっていると、後ろから声をかけられた。
ヒロシ君である。また偶然会ってしまった。彼はこれから列車でスロヴェニアの首都リュブリャーナに行くという。僕はすでにバスのチケットを取っていたので移動手段は違うが、リュブリャーナで合流しようということにした。
午後5時、リュブリャーナのバスターミナルに着いてみると、ヒロシ君が待っていてくれた。彼はここに着いた足で宿探しをはじめたのだが、宿がなかなかとれず、とりあえず僕を待ってくれていたらしい。
それならもう、そのまま次の目的地に行っちゃうか、というわけで、今日中に次の目的地ブレッド湖に移動することにした。
ブレッド湖にバスがついたのは19時半。まだぎりぎり明るかったが、宿のアテはゼロ。とりあえずインフォメーションに行ってみたが空き部屋はないという。
仕方ないので自分らで「SOVE」というプライベートルームを探すことにした。看板のかかっている家をしらみつぶしにあたっていくしかないのだが、もうすでに辺りは暗い。これは早く見つけないと大変なことになるなと思っていたら、運がいいことに、最初に訪れたプライベートルームが空いていて、しかもその部屋がこの旅一番の豪華部屋というラッキーぶりだった。
料金は一人20ユーロ(3100円)。25ユーロを無理をいってまけてもらったのだが、ここはアパートメントソベで、普通に暮らすこともできる部屋だった。部屋を見てびっくり。2DKでキッチンは自分達だけで利用できる。テラスもあり、部屋も広い。2人でなく4人でも充分はいれるだけの広い部屋。
こんなところに20ユーロで泊まれていいんだろうか……。ユースのドミトリーに泊まるのより安い。これは自炊で美味いもんを作って、テラスでのんびりしなければ。
クロアチアのドブロブニクのときもそうだったけれど、こういう町が僕は好きだ。とくに湖畔というところがいい。明日は湖の周りをまわって午後からは宿でのんびりすることにしよう。
この旅一番の豪華部屋。
とりあえず今晩も自炊。野菜たっぷりスパゲティ。