RSS | ATOM | SEARCH
カイロ空港で会った韓国人女性
日本を出発してから163日目
ただいま13カ国目
エジプトのカイロにいます


 本日はいよいよスペイン脱出。いろいろと面白いことがあったバルセロナだったけど、この物価から逃れられることはちょっと嬉しい。

 夕方まで宿でうだうだし、夕方の4時に宿を出発。午後8時頃離陸した飛行機は深夜1時頃にエジプトの首都カイロに到着した。
 もう時間も遅いので、今夜はここで一夜をあかす予定。空港内を歩いてみたのだけれど、適当な寝場所がない。仕方がないので読書でもしようかと思っていたら、アジア人ぽいおばさんから声を掛けられた。

「アーユーコリアン?」
「ノー、ジャパニーズ」

 彼女はカイロで韓国人宿を経営しているらしく、今日の深夜の便でロシアから到着する韓国人を空港まで迎えにきたのだという。
 なかなか飛行機がこないので、2人で長話を始めてしまったのだけれど、エジプトにはどれくらいいるのか? 予算はどれくらいなのか? と、たてつづけてに質問された。

「メイビー、ワンマンス。メイビー、300ダラーズ」

 適当に答えると、その予算に同情したらしく、とても親身になってくれた。同じアジア人ということで親近感もあり、とても感じのいい人だったので、

「今日、そちらに泊めてもらうことってできますか?」

 と聞いてみた。

「朝食付きで1泊10ドルだけど大丈夫?」

 うーん、ちょっと高い(スペインに比べれば激安だけど、300円くらいのところに泊ろうと思っていたので)。泊れない金額ではないけれど、最近金を使いすぎていたので、残念ながら断わることにした。
 そのあとも彼女は僕のことを心配してくれ、よく使うアラビア語を教えてくれたり、エジプト人はぼってこようとするから気をつけろといって、街中の本当の物価を教えてくれたりする。
 その見返りを求めないあまりの親切さに、しだいに心が動かされていった。

「あのー、10ドルでいいんで今日泊めてもらえますか?」

 彼女は少し驚いて、

「ええっ、大丈夫? じゃあ、ここから新市街までの交通費はいいわ」

 と答えてくれた。ここから新市街までは、タクシーを値切っても、700円くらいは取られる。多分、結構痛い出費だろう。今までなら、そこで「儲かった」と思ったはず。でも、そういう気持ちは生まれなかった。どちらかというと、「悪いなあ」という感じだった。

 結局2時間空港で待っていたのだけれど、ロシアからの便で韓国人は来なかった。午前3時すぎにあきらめ、2人で乗り合いタクシーを捕まえ宿に戻る。運良く乗り合いタクシーが捕まえられたとはいえ400円分は彼女が全額払ってくれた。(400円はカイロではけっこうでかい)


キンさん。本当にいい人。

 午前4時に宿に到着。こんな時間にもかかわらず、彼女は「お腹すいたでしょ」と言って、味噌汁とキムチ、それに白いご飯を出してくれた。もちろんタダ。彼女もそうとう疲れていただろうに……。
 久しぶりにアジアの白飯を頬張りキムチを食っていると、何だか実家を思い出してしまった。


うまい。そして温かい料理だった。

 寝る部屋はドミトリーとはいえ、誰もいない部屋をあてがってくれた。広い部屋に僕一人。この旅一番の広い個室で幸せな気持ちで眠りにつくことができた。



author:tiger, category:Egypt, 20:42
-, -, - -
日本人沈没宿「サファリ」
日本を出発してから164日目
ただいま13カ国目
エジプトのカイロにいます


 昨夜はこの旅初の韓国人宿に泊まった。深夜4時半就寝だったが、8時半には目が覚めて居間に行くと、キンさんが朝食の準備をしてくれていた。たぶん昨夜はキンさんもほとんど寝ていないだろう。早くから申し訳ない。

 白米と韓国風味噌汁にキムチ、カクテキ、焼魚。これにキンさんの愛情がくわわり、キンさん家族と話をしながら食べられれば言うことなし。最高に贅沢な朝食だった。

 朝食が終わるとキンさんが一緒にアタバに行かないかと言う。とくにやることはなかったので、「お願いします」といって町に出た。
 キンさんは自分の用事を5分ほどで片付けると、僕のために市場をいろいろと案内してくれた。
「これは2ポンドくらい、でも最初はふっかけてくるから注意して!」
 と親切に教えてくれる。途中でジュースをおごってもらい、おまけに交通費まで出してもらった。



 宿に戻ると、ちょっと休んでから移動を開始。これほどよくしてもらったので、もう何泊かしてもいいかなと思ったのだけれど、別の宿にモロッコで一緒だったヒロシ君を待たしていたので、残念だけれど宿を出ることにした。
 キンさんは次に行く宿の場所を丁寧に教えてくれ、危ないからと腰に巻くタイプの貴重品入れをくれた。こんなに親切にしてもらっていいのだろうか。異国で受けたあまりの親切ぶりに涙が出そうになってしまった(でも、泣いてはいないよ。この旅で泣いたのはクスコの1回だけ)。

 荷物をもって20分ほど歩いたところに目指す日本人宿があった。この宿はブラジルのリオで会った国ハンター(現在140カ国突破)のT君イチオシの宿で、世界3大日本人宿のひとつだという(どういう基準でそうなったのかは微妙だけど)。
 どうせカイロでプチ沈没する予定だったし、せっかくだから行ってみたいなと思って、ヒロシ君にも紹介したのだ。

 宿は雑居ビルの5階にある。5階といっても、こちらは日本でいう1階が0階になるので実質6階。もちろんエレベーターなんてついていないから歩いて登らなければならない。
 ベッドが空いてなかったらどうしようかと思っていたのだけれど、運良くベッドが空いていた。ドミトリーに通され、1泊の料金を聞くと、なんと11ポンド。日本円で220円くらいだ。これは今回の旅で1番安い。
 とりあえず団らん部屋に行ってみたのだけれど、漫画や文庫本が充実しており、情報ノートも地域別にわけてファイルされている。
 宿の管理人のアブドさんはアブドーラ・ザ・ブッチャーを思い出させる風貌で(髪はある)、めちゃめちゃ親切。日本語も話せるのですごく楽チンだ。

 団らん部屋には何人かの日本人がいた。聞くところによると、1年半の重鎮Nさんを筆頭に、半年、1ヶ月半と長期滞在者が多い。1番短い人でも1週間くらいは滞在しているらしい。これが「沈没宿」と言われる所以だろうか。
 でも正直、最初だからかもしれないけど、この空間には戸惑った。以前ブエノスアイレスの「日本旅館」に行ったときもそうだったけれど、沈没宿では長期滞在者のコミュニティがすでに出来上がっていて、新参者はなかなか溶け込めないのではないかと思ったからだ。

 8時半にヒロシ君が1泊2日の砂漠ツアーを終えて帰ってきた。知り合いに会えたことで一気に安堵感が増す。一緒に外に飯を食いに行って話してみると、やっぱり彼も同じような感想をこの宿にもったらしかった。


今日の夕飯はエジプト名物、コシャリ。これで2ポンド(40円)。

 夜中1時就寝。いい時間なのに団らん部屋にはまだ多くの日本人が酒を飲みながら話をしていた。ちょっと居づらい空間ではあるけれど、もうちょっとここに居てみよう。世界3大日本人宿がどんなものか、もう少し様子をみてみないと分からないような気がしたからだ。



author:tiger, category:Egypt, 21:50
-, -, - -
ネット屋でハプニング!
日本を出発してから165日目
ただいま13カ国目
エジプトのカイロにいます


 今日は午前中、カイロの役所にエジプトビザの延長をしにいった。エジプトビザは1ヶ月有効で、11・5ポンドで延長できるという。1ヶ月以上滞在することはたぶんいないだろうと思うのだけれど、ヒロシ君がやりにいくというので、それなら万が一を考えて一緒にいってやっておくことにしたのだ。


今日の朝飯、コクテール。1.5ポンド(30円)。

 アラビア語の障害にくじけそうになりながらも、なんとかビザを延長。11・5ポンドで半年ビザがとれるということだったのだけれど、なぜかパスポートの期限は12月1日。
 これじゃ、5ヶ月じゃんか。文句をいうのも面倒くさいし、そんなに期間は必要ないので、そのまま役所をあとにした。それにしても、いいかげんだなあ……。

 午後からはネット屋にいってたまっているメールを返信していた。が、思いもかけないハプニングがそこで起こってしまった。
 ブラジルで会った日本人の友人Jから送られてきたメールが英語のファイル形式になっていて、それをわからぬままクリックしていたら、何かの間違いでホットメールに登録してあるアドレスすべてにメールが送信されてしまったのだ。
 ウイルスメールではないので放っておいたのだけれど、ネット屋にいるあいだにも、「あのメールはなんだ」という返信がたてつづけにあった。

 アドレス帳に登録されているメンバーは総勢140人。
 これはいかん。

 すぐに「さっきのメールは間違いです」メールを全員に送信した。たぶんそれで大丈夫だと思うけど、もし間違って登録してしまった人がいたらゴメンナサイ。悪気はまったくなかったのです……。
 それでも、その間違いでしたメールを見て、久しぶりにメールをくれた知人友人がたくさんいた。怪我の功名ではないけれど、これは本当に嬉しかった。こちらもなかなかメールを送れないでいる人がたくさんいたので……。

 夜中に宿に帰ると、今日も団らん部屋はおおいに盛り上がっていた。酒を飲みながら、結局朝方5時半まで一緒に話してしまった。
 これはひょっとして、沈没宿ペースにはまっていってしまっているのではないだろうか……。
author:tiger, category:Egypt, 22:01
-, -, - -
ハンハリーリにシーシャを買いに行く
日本を出発してから166日目
ただいま13カ国目
エジプトのカイロにいます


 サファリホテル3日目。今日は午後からアスワン行きの列車チケットをラムセス駅に取りにいき、そのあとでハンハリーリに買い物に出かけた。


ラムセス駅ホーム

 ハンハリーリに行ったのは、S君がシーシャを買いに行くというのでついていったのだけれど、見ているうちに自分も欲しくなってしまい、ついつい購入してしまった。
 シーシャとは俗に言う水パイプで、フルーツの香りのする葉っぱを炭でいぶしてすうタバコのようなもの。マリファナやハシシ、ガンジャなどとは違い肺に煙を入れないし、合法なので安心して吸うことができる。


カフェでシーシャを味見。










ハンハリーリ。

 ヒロシ君が発見したシーシャ生産工場では、シーシャを部品ごとに自分でチョイスでき、自分の好みのシーシャが作れる。おまけに日本で買うと多分1万円は優に超える代物が、なんと800円で購入できる。これはいい買い物をしてしまった。



 帰りがけにフレーバー屋(フルーツの香りのする葉っぱ)に寄って、アップル、レモン、ストロベリー、オレンジ、ミント、バナナ、チェリー、ココナッツを各一箱ずつ購入した。これらはカイロにいるあいだに日本に送ってしまおうと思っているので、日本に帰ってからやるのが楽しみだ。


みんなシーシャ好き。


決して怪しい集団ではありません。

 夜中にはサファリホテルで「納涼大会」が開催された。ドミトリーの一室を使って宿泊者が集まり、真っ暗ななかにろうそくを立てて、怖い話を順番にするというイベントだ。
 この宿の重鎮Nさんの仕切りで10人ほどが集まり、一人が2〜3話ずつ各自の恐怖体験談を話していく。大会は夜中の2時前までつづき、その間、しょんべんをチビりそうな話の連続だった。
 この手のイベントにはあまり興味がなくかったが、これはこれでなかなか面白かった。





 この沈没宿での滞在も最初は不安が先行したけれど、こういうイベントを初対面の人間と、しかも異国の地でできるというのはなかなか経験できないことだと思う。もうしばらくサファリホテルに滞在してみようかな……。
author:tiger, category:Egypt, 22:07
-, -, - -
「4つ並べ大会」inサファリホテル
日本を出発してから167日目
ただいま13カ国目
エジプトのカイロにいます


 本日は昨日にひきつづきサファリホテルで大会が開催された。今回の大会は「4つ並べ大会」。縦6列、横7列の穴が空いたボードを立て、そこにチップを落として縦横ななめに4つ並べば勝ちというゲームだ。



 この宿についてから、みんな暇があると団らん部屋でこのゲームをやっている。日本でやったことがなかったので最初は傍観しているだけだったのだけれど、大会当日になっていきなり参加者名簿に僕の名前が書き込まれていた。

「ええっ、僕、やったことないですよ」
「いいんや、4つ並べるだけや、誰でもできる」

 Nさんの強引な押しに押し切られ、いつのまにか参加することになってしまった。メンバーは12人。男性宿泊者のほぼ全員だ。初心者は僕以外にも何人かいるみたいなので、なんとか最下位だけはまぬがれねば……。

 大会は夜中10時に始まった。試合は総当たりの3本先取制。わけのわからないまま、いきなり4連敗スタートという最悪の出だしだった。
 というか、どうやったら勝てるのかまるで分からない。途中、この宿に長く滞在しているS君に勝つ秘訣を伝授してもらい、なんとか「勝負」ができるようになったのだが、コツがわかるとだんだん楽しくなってきた。
 いつの間にか熱くなり、負けるのが嫌になってくる。実は僕、けっこう負けず嫌いなのです。



 結局、そのあと盛り返してトータルで5勝6敗。12人中8位の成績で、なんとか面目を保つことができた。何が面目かというと、この宿では「4つ並べ」で上位に来た人間が「えらい」とされている。自分より上位の人間には敬語を使わなければならないのだ。
 ちなみに連れのヒロシ君は早々に最下位が決定し、かなりへこんでいた。





 でも、ここの宿のいいところは、重鎮のNさんを中心に、新参者の僕のような宿泊者にも大会への参加を呼びかけてくれるところだ。日本人宿に泊まると、長期滞在者と短期滞在者が別れてしまうのが普通で、正直、居心地の悪いこともある。
 僕なども、のっけから気楽に話しかけれるほうではないので、最初は萎縮してしまっていたのだけれど、こういう大会に参加すると嫌でもみんなと仲良くなるし、みんなの名前も覚えやすい。そうなると、いつのまにか居心地がよくなってしまう。サファリホテル恐るべし!

 参加人数が多かったため、大会は夜中の4時でいったん終了、残りの試合は翌日に行われたのだけれど、僕は明日、ギザのピラミッドに観光に行く予定だったので、3時にはあがらせてもらった。ピラミッドは昼間は暑いので明日は6時起き。ちゃんと起きれるだろうか……。

author:tiger, category:Egypt, 22:16
-, -, - -
「すべらない話大会」inサファリホテル
日本を出発してから168日目
ただいま13カ国目
エジプトのカイロにいます


 ううっ、やってしまった。
 今日は早朝からギザのピラミッドに行く予定だったのに、寝過ごしてしまった。正確にいうと、眠いのでまあいいやと思って、二度寝してしまった。一緒に行く予定だったヒロシ君も同じ状態だったらしい。

 そりゃ、夜中の3時すぎまで遊んでりゃ仕方ないでしょ。自業自得。と思われるかもしれないけれど、みんなとワイワイやるのが好きなので仕方がない。
 この宿は毎日、深夜4時くらいまで起きている人間が多い。起きるのが昼すぎで、起きたころには日が昇っていて暑いので宿から出ない。で、気がつけば夕方。長期滞在者のくせにろくに観光にいっていない人が多いのもうなずける。
 僕も今日でサファリホテル3日目だけれど、ハンハリーリ以外の観光地にはどこにも行っていない。明日はアスワン方面に向けて出発してしまうから、観光は再びカイロに戻ってきてからになる。いつまでここに滞在すれば観光が終了するのか心配だ。

 夕方にはシャア飯をみんなで食べた。ここの宿は毎日シャア飯をする。普通なら、何人か仲のいい人間同士で買出しに出て調理するのだけれど、ここは当番制になっていて、長期滞在者が順番に料理を作ってくれる。
 支払いはだいたい4ポンドから6ポンド(200円から300円)。安いだけでなく、日本料理を食うチャンスが多いことと、飯を食いながらみんなで話せるのがいい。片付けはジャンケンというのも盛り上がる(勝者が片付けをする。喜んで片付けますというのがこの宿のモットー)。


今日メニューは揚げ物でした。

 夜中、いつものように団らん部屋で話し込んでいると、途中から話の流れで、「すべらない話大会」をすることになった。
「すべらない話」はテレビ番組でやっているものとほとんど同じで、クジを引き、当りを引いた人間がみんなを笑わせる話をしていく。僕はクジ運がよく、3回も当りを引いてしまったが、その反応は散々だった。

 気がつけば早朝5時半。
 明日は7時45分の列車でアスワンに出発しなくてはならない。
 さすがにもう寝れないなあ……。



author:tiger, category:Egypt, 22:36
-, -, - -
アスワンに出発
日本を出発してから169日目
ただいま13カ国目
エジプトのアスワンにいます


 今日からエジプトを南下する。今回はヒロシ君とともに1週間くらいの予定でアスワンまで下り、そこから北上してルクソールに寄ったあと、再びカイロに戻ってくる予定だ。
 昨日の夜の「すべらない話」大会が朝方までつづいたため、結局寝ることができなかった。眠い目をこすりながら6時45分に宿を出てラムセス駅まで行き、朝7時40分の列車に乗って一路アスワンを目指す。
 
 エジプトの列車はなかなか乗り心地がいい。2等車でも十分に快適な列車の旅ができた。
 途中、現地のガキんちょが日本人を面白がって寄ってきた。やはりどこの国にいっても子供はいい。とくにエジプトは働いているガキんちょが多いのだけれど、そのほとんどが元気で愛嬌があり、笑顔を絶やさない。
 僕自身子供好きなので、暇なときはつきあって会話してやることが多いのだけれど、いくら遊んでいても飽きることがない(遊んでやるというより遊んでもらってる感じだけど……)。






ナイル川の周囲にはけっこう緑があった。

 アスワンには夜中の10時に到着した。
 とりあえず、あたりをつけていた「MARUWA」という宿に行く。エアコン付のツインの部屋がなんと20ポンド。一人10ポンド(200円)でこの旅一番の安宿となった(エアコンなしだと一人6ポンド、120円だったけれど)。
 とりあえず駅に戻ってルクソール行きの列車チケットを入手し(17.5ポンド)、飯を食った後は宿に帰ってのんびりくつろいだ。


今日の夕飯はちょっと豪華にしてみました(10ポンド、200円だけど)。

 ひろし君が小さいシーシャを持ってきていたので、部屋でためしてみる。今日はチェリー味にしてみたけれど、これがなかなかいける。
 シーシャをふかしながら、昨日買った「4つ並べ」を2人でやっていると、たまらなくリラックスできた。

 ただ、「4つ並べ」は単なる遊びではない。カイロに帰るのは1週間後。それまでに「4つ並べ」の腕を磨いて、サファリホテルの人間を驚かせてやる。それが今回の旅の一番の目的である。


author:tiger, category:Egypt, 04:57
-, -, - -
ナイル川とエジプトの夕日
日本を出発してから170日目
ただいま13カ国目
エジプトのアスワンにいます


 アスワンに着いた目的はアブシンベル神殿とイシス神殿、それにアスワンハイダムを見ることだ。どうやって行こうかと考えていたのだけれど、宿の人がツアーを勧めてきた。
 上記の3つの観光地をまわる日帰りツアーで、宿まで送迎してくれるという。料金は60ポンド(1200円)。アブシンベルまでは3時間かかるので、このツアーに参加したほうが楽だろう。
 出発は午前3時半。今日のツアー参加は無理なので明日のツアーに参加することにした。

 というわけで、今日は一日、宿の近くをまわっただけでのんびりしていた。
 夕方ナイル川の川岸にいってみると、日本より暖色の強い夕日がナイル川を照らしていた。ナイル川はアマゾンと比べると川幅が狭いが、見た目はとてもきれいだった。
 近くによってよく見てみると水が濁っていて泳ぐのはちょっと無理そうだったけれど、川岸には多くの畑もあり、灼熱のエジプトを支えている様がわかる。エジプト人にとってナイル川はかけがえのないものなのだろう。






 
 今日も夜中はシーシャに四つ並べ。すでにヒロシ君との間では恒例になりつつあるこのイベントはこの旅ずっとつづきそうだ。


香辛料のお店


今日の夕飯。バテ気味なので腹いっぱい食う。(これで120円)


author:tiger, category:Egypt, 05:21
-, -, - -
アブシンベル神殿とイシス神殿
日本を出発してから171日目
ただいま13カ国目
エジプトのアスワンにいます


 今日はツアーでアブシンベル神殿、イシス神殿、アスワンハイダムの三箇所をまわる。 
 出発は午前3時半。早い。
 エジプト観光の難点はとにかく日中は暑いこと。今がちょうど一番暑い時期なのだけれど、昼間はあまり動けないので、午前中の早い時間にまわってしまわなければならない。




ナセル湖。
 
 というわけで、まずは3時間かけてアブシンベル神殿に到着した。
 世界遺産にもなっているアブシンベル神殿は今から約3300年前に古代エジプト王朝のラメセス2世が建設したとされている。ラメセス2世はそうとう自己顕示欲が強かったらしく、この神殿の正面には高さ20メートルもある自身の巨像を4体も造らせている。
 ピラミッドなども王が自らの権力を誇示するために造らせたとされているが、そのためにどれだけの人間が苦しんだことだろう。古代の王さまはどんだけエライんだ! と言いたくなってしまう。



 でも、実はこの神殿、最初からこの場所に存在していたわけではない。アスワンハイダムの建設により水没の危機にあったこの神殿をユネスコが国際キャンペーンにより救済した。
 大移転工事は1964年から行われ、1968年には60メートル高い現在の場所にそっくりそのまま移転されたのだという。
 遺跡自体もなかなかよかったけれど、この大きな遺跡をブロックに切断してこの地まで運んでしまったということが一番印象的だった。







 次にアスワンハイダムに向かう。社会の授業でも習ったこの有名なダムは幅3600メートル、高さ111メートルという巨大建築物。ここから上流には琵琶湖の7.5倍あるという人工湖、ナセル湖が続いている。
 肩書きだけはすごいけど、旅人の間では「見る価値なし」との評判が高い。僕自身、特別見たいとも思わなかったのだけれど、せっかく来たのだから入ってみた。
 すると案の定、「なんだコレ?」という代物だった。イメージしていた巨大なダムの壁は存在せず、あるのは広い湖とゴチャゴチャしたコンクリの建設物があるのみ。川をちょっと堰き止めているというだけにしか見えないのだ。




どういうダムだかさっぱりわからん。

 さっさとバスに乗れと急かされて、観光は10分で終了。高さ111メートルはいったいどこにあったんだろう。一応アスワンハイダムを見ましたよ。という話のネタにしかならない観光地だった。

 最後にまわったイシス神殿はそんなに期待していなかったぶん、かなり楽しむことができた。
 ボートに乗ってナイル川を渡り、10分ほどでアギルキア島に到着すると、すぐ目の前がイシス神殿だった。神殿自体はアブシンベル神殿とくらべるとずっと小さかったのだけれど、何本もの巨柱、いくつもの部屋がしっかりとした形で残っており、各壁、各柱、各天井、そのいたるところに形象文字や壁画がほどこされていた。















 これまでもいくつかの文明を見てきたけれど、どうも僕はこのエジプト文明が一番好きらしい(そういえばニューヨークのメトロポリタン美術館でもエジプト文明が一番面白かった)。
 エジプト文明は紀元前3000年頃に始まったとされている。今からだいたい5000年前。それだけでも気の遠くなる話なのだけれど、その頃造られた遺跡が、現在でもこれほどまで鮮明に残っていることがまずすばらしい。
「これって後から似せて造ったものでしょ」と誰もが思いたくなるほど保存状態がよく(もちろん修復はされているが)、5000年前の文字や絵が今でもしっかりと確認することができる。
 しかもその建築技術はかなり高度なもので、建築や壁画に見られる芸術性も高い。特に僕は壁画が好きで、いつまで見ていても飽きるということがない。
 ひとつひとつの絵には当時の生活の様子や権力構造の意味合いが込められていて、それらを考えながら頭の中で勝手に空想の世界を作っていく。イメージはいくらでも広がり、いくら時間があっても飽きることがない。
 こういう王がいて、こんな妃がいて、こんな町並みがあって、こんな臭いがする。さらに登場人物を身近な人間にあてはめてみると、さらに空想は楽しくなる。ちなみには僕自身は王の時が多いけど……。

 ツアーは午後3時半に終了。そのまま宿で荷物をひきとって、夕方5時45分の列車でルクソールに移動した。
 ルクソールに着くと、すぐに宿さがし。駅に客引きにきていた「イッサラーム」という宿をルクソールの住処にする(一泊ツインで15ポンド。一人7.5ポンド、150円はこの旅最安値)。
 ルクソールは日中気温が50度まで上昇するという。アスワンもカイロと比べてかなり暑かったけれど、エアコン付の部屋に泊まっていたことと、観光がツアーでバス移動だったこともあり、なんとか耐え抜くことができた。
 
 今回は部屋にエアコンもついていない。アスワンのようにはいかないだろう。ルクソールの気温50度とはいったいどんなものなのか。辛いだろうけど、明日からがちょっと楽しみだ。
 
author:tiger, category:Egypt, 05:46
-, -, - -
カルナック神殿と灼熱のルクソール
日本を出発してから172日目
ただいま13カ国目
エジプトのルクソールにいます


 ルクソール初日。今日は午前中からナイル川の東岸の観光をした。目的はルクソール神殿とカルナック神殿だ。

 まずは宿からすぐのルクソール神殿に向かう。ここは周囲を普通の一般道路で囲まれている。入り口を探して周囲を回っていると、だいたいの外観が見え、それでなんとなく満足してしまった。
 入場料がもったいないし、次に向かうカルナック神殿のほうがすごいというもっぱらの噂だったので、ヒロシ君と相談の結果、この神殿に入るのはやめにすることにした。


ルクソール神殿

 次の目的地カルナック神殿までは歩いていった。まだ午前中だから大丈夫だろうと高をくくっていたのだけれど、これが失敗だった。
 ルクソール神殿からカルナック神殿までは意外と距離があり、途中、ATMを探したこともあって、1時間半かかってしまった。
 2、3時間歩くことはこれまで何度もやってきたし、歩くのはそんなに苦痛ではないのだけれど、ここは灼熱のルクソールだ。

 歩き出してしばらくすると、まだ10時だというのに暑さでヘロヘロになる。僕は水が飲めないのですぐに売店でコーラを買う。余計にのどがかわいて今度はスプライトを買う。
 こんなことを繰り返していると、さすがの僕も水が欲しくなってしまった。こんなことはモロッコのサハラ砂漠につづき、ここ10年くらいで2度目。やっぱり本当に暑いと人は水を求めるんだなあ……。
 結局、水は飲まずにセブンアップを買ったのだけれど、この調子だとルクソールにいる間に水を飲む可能性もおおいにありえる。サハラで水を飲まなかった時は、もうこの旅で水を飲むことはないと思っていたのだけれど、案外そのチャンスが早くきてしまったようだ。

 暑さについてもう少し書くと、面白いのは、あまりに暑すぎて汗がすぐに蒸発してしまい、いくら水分をとっても汗が流れないことだ。
 さらにこの地は日陰に入っても暑い。東京のようにアスファルトの照り返しやクーラーの温風が外に流れているわけではない。普通の木陰が暑いのだ。ファンを回していても来るのは熱風なので、ファンを回さないほうがいい場合もある。
 午後に入ればさらに気温は上昇するだろう。もたもたしていれば暑さで身体が溶けてしまいそうだ。


途中で会った少女はバクシーシ(チップ)を要求してずっとついてきた。

 カルナック神殿には午前11時に到着。ここには日本人観光客もツアーで多く足を運んでいた。
 カルナックにはいくつかの神殿があり、そのなかでもアムン大神殿はエジプトで最大規模の遺跡らしい。
 それだけあって、敷地内は広く、修復が終わっていない遺跡の残骸が敷地の内外のいたるところに転がっている。それこそ、1つや2つ持って帰ってもバレないだろう。あまりに暑く、ひとつひとつが大きいのでとてもそんな気にはとてもならないけれど……。


遺跡の残骸がごろごろしていた。





 この神殿のメインはアムン大神殿の大列柱室の134本の巨大な柱だ。写真で見てもらえばわかると思うが、それぞれの柱に象形文字が絵が描かれており、ひとつひとつがかなり精密に造られている。それがこれだけの数並んでいるのだから圧巻だ。
 あまりに暑いのでざっと見てすぐに出ようと思っていたのだけれど、あまりに面白かったので、2時間近く神殿をまわってしまった。











 帰りには路上販売していたスイカを丸1個買い(5ポンド、100円)、バスに乗って宿に戻った(さすがに歩いてかえる勇気は持ち合わせていなかった)。

 宿に帰り、シャワーを浴びて最上階のキッチンにいると、日本人のおじさん2人がたくさん作ったからといってオジヤをごちそうしてくれた。
 これが、かなり美味かった。ここの宿にはキッチンがあり、自由に使っていいことになっている。明日から3日はまだルクソールにいるので、2人で自炊してみるのもいいかもしれない。

 夜中にはキンキンに冷えたスイカをたらふく食べた。日本ではこれだけの量のスイカを食う機会はなかなかないけれど、あまりに暑いので、ほぼ水分のスイカはとても嬉しい。
 スイカを食いながらビールを飲んで、そのあとはシーシャを吸いながら四つ並べ。うーん贅沢。
 でも、いくら室内に入っても、いくらファンを回しても、いくら夜中になっても暑い!暑い!暑い! いや、熱い!熱い!熱い!

 さすがにちょっとバテ気味のタイガーです。


author:tiger, category:Egypt, 06:10
-, -, - -